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ゲームに投資(9月25日更新) [ゲームに投資一覧]

 先週は、ナムコ(9752)、カプコン(9697)などが上昇し、ジャレコ(7954)やKCE東京(4780)などが下落した。株式相場全体が大幅安するなか、週末に開催される「東京ゲームショウ2000秋」に対する思惑や期待を背景に、一部のゲーム株は比較的堅調に推移した。一方、2週連続1位だったジャレコ(7954)は大幅に下落し、ひとまず上昇に歯止めがかかったようだ。

 ●介護&ゲーム
 ナムコの上昇の理由は、ふたつ考えられる。ひとつは株価がここ2週間ほど2800円を大きく下回らなかったことによる「自律反発」によるもの。もうひとつは「ハッスル倶楽部」という福祉(例えば診療所や病院など)に遊びの要素を結びつけた施設を企画・プロデュースする事業を開始すると報道されたことである。具体的には、診療所などに高齢者や体が不自由な人でも楽しめるゲーム機などを設置し、重要度が増しているシルバーライフや福祉の向上などに役立たせようとするものである。一時の株式市場における「介護関連銘柄」の上昇に比べると非常に地味だが、「何か新しいもの」を模索している企業の積極姿勢に株式市場が共感を示した結果であるようだ。

 ●2学期頑張ります
 先週のカプコンは、2000年9月中間期の連結売上高を下方修正したにも拘らず、株価が上昇するという奇妙な現象が起き。実際、業務用ソフトが低調だったことに加え、「着メロコレクション」のレンタルや販売が下期にずれ込むことなどが影響した結果である。しかし、その下方修正と同時に「鬼武者」や「バイオハザード」シリーズなど期待ソフトが発売される下期を含む通期の連結業績見通しを変更しなかったことから、株式市場に期待が広がり株価が上昇した。

 例えると「1学期の成績は悪かったけど、2学期・3学期はガンバリます。先生ゴメンなさい」という「優秀なカプコン君」の言葉をみんな信じてしまったわけである。“株価は期待で動く部分が多い”ことから、この結果は来年になってみないと「カプコン君」にも「われわれ」にも分からないであろう。

 ●そして誰もいなくなる?
 新作ゲームソフトやゲーム機が一堂に会する世界最大の見本市「東京ゲームショウ2000秋」が22日から3日間の日程で千葉市の幕張メッセにおいて開催された。今回のゲームショウは前回(春)の開催に比べ「プレーステーション2」というような存在感のあるゲーム機がなかったため、今ひとつ盛り上がりに欠けるものとなった。さらに、事前からセガ・エンタープライゼス(7964)やスクウェア(9620)が不参加を表明していただけに、このゲームショウ自体の意味合いを各企業が真剣に考える良い機会となったようだ。

 そもそも来場者に対して、「東京ゲームショウに来た目的は何ですか?」と質問したとき、返ってくる答えは何が一番多いだろうか。恐らく「新作ソフトを発売前に楽しむことです」と答える人が一番多いのではないかと思われる。そういった意味で、「ファイナルファンタジーIX」や「劇空間プロ野球」を発売したばかりのスクウェアには、出展するソフトがないことにまず気付かなければならない。

 さらに、オンラインという形でゲーム以外の領域にもネットワーク化を進めようとするセガも、ソニー(6758)の考え方とはちょっと違うようである。要するに今回のゲームショウはソニーの力が非常に強く、強大になっているために、「東京ゲームショウ」が「ソニーゲームショウ」もしくは「プレステ2ゲームショウ」へと変貌を遂げる「プレリュード」であると考えることができそうである。では、追い出された?いや逃げ出した?セガはどこへ行ってしまったのであろうか。

 ●ウラ開催
 ここで東京ゲームショウと時を同じくして開催されたもうひとつのイベントをご紹介したい。9月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催された「アミューズメントマシンショー」である。「東京ゲームショウ」が家庭用ゲームソフトの祭典であるのに対して、「アミューズメントマシンショー」は主にゲームセンターなどの施設用の見本市なのである。今回で38回目を数え、かつては「インベーダーゲーム」や「平安京エイリアン」そして「パックマン」や「ゼビウス」、最近では「UFOキャッチャー」や「プリクラ」など、数々のブームの火付け役となった歴史がある。

 そして、そこにセガはいたのである。今回セガのゲームで特に人気を集めていたのは、「Star Horse(スターホース)」という究極のメダルゲームであった。今までの競馬ゲームと違い、まさに本格志向、実名馬をはじめ、ジョッキー、競馬場、アナウンサー(杉本清氏による実況)、ファンファーレ、予想紙の細部に至るまでそれぞれにこだわりがあり、まるで本物のテレビ中継を見ているのようにカメラアングルがリアルに切り替わる。そして、馬をなでる(実際には画面に触れる)といった行為もでき、馬と一緒に感動をも共感できる仕組みとなっている。「これがセガの実力だ!」と言わんばかりの出来栄えであり、「セガ株を買いたい!」と思った瞬間でもあった。しかし、現実は厳しいのである。それはセガ自身が一番良く知っていることだと思う。

 ●今週の展望
 今週はちょっと面白いゲームを制作中のKCEO(4729)に注目したい。そのゲームの名は「バンドエイジ」である。携帯電話向けの新コンテンツであり、全国見ず知らずのプレイヤー同士が4人でバンドを結成するゲームである。それぞれ、ボーカル・ギター・ベース・ドラムの担当を決め、アマチュア活動やメジャーデビュー、解散コンサートを携帯を通じて体験できる。さらに、結成されたバンドのパラメータによって最終的に5ジャンル(J-POP、ロック、演歌など)、数万種類の内からひとつの着信メロディーをもらうことができるのである。「iモード」などに加入者が急増する昨今、「着メロ」を使ったユニークなゲームを制作することは、「大ブレーク」を一瞬予感させるものがある。  ということで今週は「KCEOに期待!」ということで締めさせて頂くが、最近の株式市場は元気がないので、呪文を唱えてから終了させて頂きたい。・・・「ホイミ!」

□関連表
・ゲーム各社騰落率
・ゲーム各社先週の動き

フィスコ アナリスト 黒岩 泰
2000/09/25
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