ソニー（6758）は7日、世界最大サイズの有機ELディスプレイの試作機を開発したと発表した。ブロードバンドコンテンツに対応する薄型軽量の13インチで、画素数800×600でのフルカラーディスプレイは「世界でも最大」（同社）となる。2003年を目標に量産化技術を確立する計画だ。

　 この有機ELディスプレイは、低温ポリシリコンTFTを使ったアクティブマトリクス型で、これまでもメーカー各社で開発が進められてきたが、画面ムラが発生するなど家庭用向けでは課題が多かった。今回同社は、TAC（Top emission Adaptive Current drive）という高輝度・高精細化を可能にする技術を開発し、高画質のコンテンツに充分対応できるディスプレイにしたという。有機ELは液晶ディスプレイと異なり、自発光なのでバックライトが不要。特に白色をより一層鮮やかに見せることができる。

　 一方で、有機ELは水や酸素で劣化するため、これらの浸入を防ぐために無機物の透明シールを貼って中空のない完全固体構造を実現した。技術説明したソニーの中村末広・執行役員専務は「将来は、液晶にとってかわる有力な中・大型のディスプレイとなろう」との見通しを示した。

　 価格や具体的な商品の概要は未定。赤と青の発光効率をどれだけ上げていくか、デバイスの寿命を最低1万時間にするなど商品化に向けての課題は残っているが、ソニーでは将来は30インチの大きさも可能になるとして、ブロードバンド時代にふさわしい大型のディスプレイ実用化にこぎつけたい考えだ。

有機ELディスプレイとしては世界最大の13インチ。
フルカラーで色鮮やかに雪山を再現