FINANCE Watch
ソフトバンクがストップ高~シスコへ割当増資、ゲノム進出を好感

  ソフトバンク(9984)は25日、戦略的パートナーシップを強化するためにネットワーク機器世界大手の米国シスコシステムズ(CSCO)に対して第3者割当増資を行うとともに、両社で投資ファンドを組成することで合意したと発表した。

  割当増資は、2月13日付でシスコに対して556万5,900株を総額2億ドル(233億6,008万2,300円、1株あたり4,197円)で割り当てる。資本組み入れ額は、116億8,282万4,100円(同2,099円)。これにより、シスコはソフトバンクの発行済み株式数の1.65%を保有することになり、第8位の大株主となる。増資により調達した資金は、今後急成長が予想されるブロードバンド、ワイヤレスなどの分野での投融資、買収案件に充当させる。

  また、投資ファンドは「SOFTBANK Asia Infrastructure Fund」として米国シスコが総額10.5億ドルで組成、数年で投資を実施する予定。ソフトバンクはファンドの運営にあたる。このファンドは主として、アジア太平洋全域におけるインターネットの早期普及を目指し、インフラ関連に特化した投資を行う。第3者による同ファンドへの参画も検討している。

  ソフトバンクは、日本法人のシスコシステムズの発行済み株式の12%を保有し米国本社に次ぐ第2位の株主となっている。日本法人の株式公開は「ナスダック・ジャパン第1号上場」など、これまで再三報じられ、実際に検討もされてきたが実現に至っていない。

  その流れのなか、保有する日本法人株の11%程度を米国シスコに2.75億ドルで売却することで合意したことも発表した。これにより日本法人の株式公開は見送られる公算となった。ソフトバンクはこの売却益約303億円を、2001年3月期決算に計上する。

  一方、ソフトバンクはライフサイエンス分野の投資事業としてベンチャーキャピタル・ファンド「ソフトバンク・ライフサイエンス・ベンチャーズ(SBLV)」を運営する子会社を設立しファンドを組成することも決めた。あおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)をはじめ、多数の企業もこのファンドのパートナーとして参画する予定だという。

  SBLVの投資対象は遺伝情報・ゲノムやタンパク質の構造・機能解析といったポストゲノム技術などを手がける。ファンドの規模は、1億2,000万ドル(約140億円)で、投資地域は欧米を手始めに順次アジアにも拡大させていく計画。

  ソフトバンクの株価は、シスコのニュースで寄りつきから売買停止され10時30分から取引が再開された。再開後は買い気配を切り上げていくも値段がなかなかつかなかったが大引け直前に値段がつき、前日比1000円高の7050円とストップ高。

■URL
・ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
・Cisco Systems
http://www.cisco.com/
・ブロードバンド分野で提携~ソフトバンク・テクノロジーとシスコ
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/07/doc961.htm
・日本シスコシステムズが本年の株式公開・上場を示唆(INTERNET Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0120/cscoj.htm

(別井貴志)
2001/01/25 15:35