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株式夜間取引がついに幕開け~GS証券が「Moon Trade」を1月開始

GS証券とオンライン証券5社の面々
GS証券のWebは2001年2月開設予定
  ●個人投資家向け第3弾
  ゴールドマン・サックス(GS)証券は13日、日本初となるオンライン証券を通じた個人投資家向け株式夜間取引「Moon Trade(ムーン・トレード)」の提供を2001年1月22日から開始すると発表した。

  同証券自体の戦略としては、これまでどおり機関投資家を中心とした展開であることには変わらないものの、その一方で、積極的に個人投資家のニーズに合った商品開発も行ってきた。その第1弾が今年3月に開始した少額でハイリスク・ハイリターンの投資を行うカバードワラント「eワラント」、第2弾が8月に始めた少額株式投資の「ポケ株ワラント」、そして第3弾が「Moon Trade」となる。これら、個人投資家向けの商品・サービスは、同証券が直接行うわけではなくインフラなどを提供し、実際の販売・取引はオンライン証券が窓口になる仕組みをとっている。

  ●取引の概要
  当初の取引時間は17時~19時までで、取り扱い銘柄数は主要25銘柄とするが、開始後1カ月をめどに23時30分まで延長し、同2カ月後には200~300銘柄に増加させる予定。23時30分までとするのは、システムに信頼性があるとしても不測の事態が起こらないようにするため、日付をまたがないように配慮したことによる。ただ、開始後の投資家のニーズをみながら更なる延長もあり得るという。信用取引もニーズがあるかどうか見極めてから対応する。

  取引はカバードワラントと同様にマーケットメイク方式で、GSインターナショナル(同グループの英国証券業者)がメイクし流動性を供給する。取引・約定は完全自動化されたシステムで、価格条件にあった700万円までの注文は原則自動執行される。1社のみのマーケットメイクということで、保つよう売り・買いの気配のスプレッド(差)は極力小さくする。

  注文形式は指し値(オンライン証券によっては無し)と上下限付き成り行き注文の2つ。上下限付き成り行き注文とは価格条件が合わずに直ちに取引が成立しない場合、注文不可能とみなされ即時キャンセルされる注文のこと。

  また、決済は確実性を重視するため取引日から起算して5営業日目と通常の取引所取引に比べて1日多い。売買手数料は販社となる各オンライン証券会社が決めるが、各社とも通常の株取引と同じ体系になる見通し。売買停止措置になった銘柄は気配の表示はしない。

  ●値幅制限無し
  このほか、日本では画期的といえるのが取引所取引で適用される値幅制限(ストップ安・高)が原則としてないこと。値幅制限は、過剰な相場反応が冷やされるという効果もあるものの、それ以上の取引が全く執行されないため、売りたい時に売れないなど投資行動が阻害されるという面もある。米国ではサーキットブレーカー制度(一定時間売買停止)などはあるものの、基本的には値幅制限をとっているのはアジアの証券市場が多い。値幅制限がないことで、投資行動が保証されるわけだ。

  欧州の投資家にもMoon Tradeを提供するほか、eワラントやポケ株ワラントも夜間取引を開始させる予定。

  ●販社となる5社のオンライン証券と東証
  取り扱いオンライン証券は、1月22日開始を目標にしているDLJdirect SFG証券をはじめ、来年4~5月開始を目指している松井証券、オリックス証券、イー・トレード証券、日興ビーンズ証券の合計5社。

  夜間取引は、三井物産(8031)が計画した後とん挫し、そのあとも東証が計画はしているが店舗展開を行う既存の大手証券などに反対を受けトーンダウンしている。

  5社のオンライン証券は、東証が開始した場合はそちらの夜間取引にも参加する表明した。Moon Tradeはマーケットメイク方式で、東証はオークション方式なので両立するはずで、どちらを選ぶかは投資家が判断することだという。

  GS証券では、Moon Trade開始初年度の目標を1日あたり取引数2万件、1日あたり取引金額200億円としている。

スタート時の取引対象25銘柄


Moon Tradeの仕組み

■URL
・ゴールドマン・サックス証券 Moon Trade(2001年2月開設)
http://www.gs.com/japan/moontrade/
・ゴールドマン・サックス証券
http://www.gs.com/japan/
・DLJ証券が来年1月から株式の私設取引市場開設へ
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/29/doc1204.htm

(別井貴志)
2000/12/13 19:24