テレビの本格的なデジタル時代の幕開けとなるBSデジタルの本放送が、1日午前11時から始まった。NHKと民放キー局の系列5社などによる8局のテレビ放送のほか、双方向が可能なデータ放送専門7局、さらにラジオ23チャンネルがスタート、放送業界は「多チャンネル・高画質・インタラクティブ」という特性を視聴者にアピールしていく。

　 この日は東京都渋谷区のNHK放送センターで、平林鴻三郵政相らを招き、BSデジタル放送普及促進連絡会議と放送衛星システムの主催によるオープニングセレモニーが行われ、21世紀を担うBSデジタル放送の開始を祝った。席上挨拶したNHKの海老沢勝二会長は「本格的なデジタル放送開始という歴史的な瞬間を迎え感無量だ。1953年に放送が始まって以来、今やテレビは国民生活に欠かせないものとなっている。世界的なIT革命のなかで、民放各社とともに技術革新の成果をBSデジタルに反映していきたい」と決意を述べた。

　 BSデジタルの受信には専用チューナーやチューナー内蔵の受像機が必要だが、エレクトロニクス業界によると、これらの11月までの販売は合計で20万台規模とされている。このほか、各地のCATV会社が契約者への同時配信サービスも開始したが、こちらは現状では大半がアナログでの配信という。

　 一方、データ放送を利用した双方向サービス（視聴者側は電話回線）では、さくら銀行（8314）と富士銀行が同日から残高照会などができる“TVバンキング”を開始した。パソコンより操作が容易とされ、今後インターネットバンキングと並ぶ非対面金融サービスとして普及が期待されている。また、番組と連動したオンラインショッピングなどのデータ放送も始まった。

　 BSデジタルの普及促進連絡協議会は、今後「1000日（約3年）で1,000万世帯への普及」を目標にしているが、良質のコンテンツやサービスの拡充、さらには受信機器の量産効果による値下げなどが課題となる。

オープニングセレモニーに出席した海老沢勝二NHK会長（左から3人目）、 氏家齊一郎日本民間放送連盟会長（海老沢氏の右隣）