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株式ネット取引は「カネ食い虫」~黒字の証券はひと握り

  日本証券業協会が株式のインターネット取引について実施したアンケート調査の結果が明らかになった。それによると、今年9月末の口座数は132万5,795口座に達し、半年間で57万9,339口座も増えた計算になる。しかし、小口取引が主体の上、開設しただけで売買注文のない「休眠口座」も目立ち、売買代金全体に占めるシェアは3.6%にとどまった。顧客獲得競争は熾烈を極め、証券各社には広告・宣伝費の負担が重くのしかかり、兜町では「ネット取引はカネ食い虫だ」との声も出始めている。

  ●巨額のCM費を投じたが・・・
  日証協によると、ネット取引を扱う証券会社は3月末の51社から、9月末までに64社に増え、今年度中には70社に達する見通しという。2000年度上期(今年4―9月)の売買代金は、現金取引が5兆4,999億円(1999年度下期3兆7,849億円)、信用取引が1兆4,373億円(同7,486億円)となり、ネット取引最大手の松井証券などが力を入れる信用取引の伸びが大きい。

  過当競争を勝ち抜き、新規顧客を獲得するには、テレビや新聞、雑誌などで大量の広告を打たなくてはならない。ある準大手証券は上半期に有名タレントを起用、CMを積極的に展開した。11億7,500万円の広告費を投入したが、新規に獲得できたのは5,213口座にとどまった。1口座を獲得するのに、22万5,398円のコストがかかった計算になり、この証券会社の首脳は「これでは採算がとれない」とため息をつく。

  ● 「利益なき繁忙」恐れる兜町
  さらに、口座をつくっても、取引はしない“顧客”にも証券各社は手を焼いている。単なる「新しい物好き」なのか、株価下落で投資に慎重なのか、理由はさまざまだろう。野村証券(8604)や大和証券グループ本社(8601)は30万前後に上るネット口座を抱えるが、実際にどれだけの取引があるのか。一部の企業を除いて公表していないが、欧州系のある証券会社がこのほど独自調査を行い、ネット口座の「稼動率」を示唆する興味深いデータがもたらされた。

  それによると、9月のネット取引件数は(1)松井証券(24万8,800件)(2)DLJディレクトSFG証券(13万4,800件)(3)マネックス証券(12万900件)(4)大和証券(10万6,300件)(5)野村証券(9万6,000件)―と意外なランキングになったという。

  口座を獲得しても、顧客が売買注文を出してくれなければ当然、手数料は落ちない。しかし、顧客管理の維持費だけはのしかかってくる。IT革命の申し子といわれた株式のネット取引だが、利益をあげているのは参入約70社のうち松井証券など、ネット主体証券のうちのごく一握り。大手証券各社などは「利益なき繁忙」に弱り切っている。

■URL
・日本証券業協会
http://www.jsda.or.jp/

(兜太郎)
2000/11/02 19:12
3/30(金)
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