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NTTに独禁法違反の疑い、“郵政省離れ”の通信業界 |
東日本電信電話(NTT東日本)がデジタル加入者線(DSL)接続事業者の参入を妨害したとして、公正取引委員会はNTTグループの調査に乗り出した。調査は、DSL接続に消極的な対応を繰り返す一方で、自らはDSLと総合デジタル通信網(ISDN)の共用サービスを計画している東西NTTに、新規参入者が反発、公取委に駆け込んだのが切っ掛け。公取委の調査に対し、郵政省は今のところ、黙殺の構えだが、仮に「独占禁止法」違反による排除勧告が東西NTTに下されれば、監督官庁の立場は微妙となる。“郵政省解体論”にも弾みがつきかねない状況だ。
●チェスコム事件の二の舞? “チェスコム事件”とは、通信自由化(85年)の前後、つまり、電話端末をNTT以外の事業者でも売れるようになりつつあった時代に、転送機能端末を発売したチェスコムを「ネットワークが輻湊(ふくそう)する」として、NTTが販売停止に追い込んだ事件。ところが、その直後、NTTは自ら転送機能端末を売り出したため、アンフェアの大合唱を浴びた。「同じ構図がDSL接続にも当てはまる」(新電電幹部)という。 DSL接続は、メタル(銅)加入者線に特殊な装置をつなぎ、光ファイバーケーブルに迫る高速伝送を実現するサービス。東京めたりっく通信(東京都中央区)、日本交信網(千葉県柏市)、イー・アクセス(東京都港区)などが参入しているが、東西NTTは「同じメタルを使うISDNに干渉する怖れがある」として試験接続に留めてきた。しかし、12月からの本格接続に当たり、DSLとISDNの共用サービスを開始すると表明。そうなれば、DSL接続の潜在需要家である約700万のISDNユーザーは、大半が東西NTTに取り込まれてしまう。
●公取委、公益事業へ初の排除勧告か 関係者によると、公取委はNTT東日本が独占的地位を利用し、貸し出し可能な回線の情報開示を怠り、DSL接続設備の設置工事や回線賃貸の料金を高額に設定した疑いで調査しているという。これに対し、郵政省は「そうしたトラブルは過去のこと。既にNTTには、DSL接続の円滑化に向けて接続約款の変更を指導した」(電気通信局)とし、この件は“措置済み”という姿勢だ。 しかし、公取委が公益事業体に対して初めてとなる排除勧告を下せば、その意味は大きく、電気通信の競争政策における郵政省の無策ぶりを晒すことなる。「“吠えない番犬”の公取委は決して頼りになる存在ではない。が、そこにDSL接続事業者が駆け込んだこと自体、通信業界の郵政省離れの証拠」。同省周辺からはそんな感想が聞こえてくる。
(三上純)
2000/10/31
12:02
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3/30(金) |
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