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破綻で人気沸騰~千代田生命の更正開始決定

  更生特例法の適用を東京地裁に9日に申請、経営破綻した千代田生命保険は、異例のスピードで13日に更正手続きの開始が決定された。同社の再建は、米AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の支援で進められる見込みだが、破綻後は、スポンサー候補として外資系金融機関が一斉に目の色を変えた。「破綻前支援」には冷淡だったものの、負債カットなどで身軽になった千代田は、衰えたとはいえブランドのアピール力や営業職員の資質は高い。アッという間に「垂涎の的」に早変わりしたというわけだ。

  ●未練の東海銀頭取

  破綻前には、加速する一方の千代田の信用不安打開を請け負うとして、独大手保険会社のアリアンツ、世界最大規模のノンバンクである米GEキャピタル、米シティ・グループなど外資系の名前が浮かんでは消えた。結局、提携や支援が実現しなかったのは、「契約者保護機構」の資金援助も仰がず、保険金を完全に保護したままでは、再建に必要な援助額が果てしなく膨らみかねないからだった。

  一方、千代田支援に前向き姿勢を見せていた主力銀行の東海銀行(8321)も、「あまりの財務内容の悪さ」から今月初めにトーンダウン。同行内では、「古くからの営業面の協力があるなんて、そんな浪花節は通用しない」と、千代田支援に未練を捨て切れない小笠原日出男頭取を中堅幹部が突き上げる一幕もあったという。

  孤立無援の状況を一変させたのは、更生特例法の申請。政府の財政支出も含む保護機構の資金援助のほか、一部ながら保険金の削減などで、再建資金の負担が大幅に軽くなる見込みだ。

  ●「仇敵」のAIG参戦に戦々恐々

  しかし、大蔵省幹部が「まったく驚いた」というのは、破綻会見に臨んだ千代田の米山礼士社長ほか申し立て代理人らが、「米大手保険会社のAIGが支援の意向を強く表明している」と明かしたためだ。AIGといえば、1990年代の日米保険協議で米側交渉団に裏から圧力をかけ、大蔵省と国内保険業界にとっては「憎き仇敵」である。

  AIGの突然の名乗りに、さらに慌てたのは、「破綻後に仕切り直しがある」と期待していた先行交渉組だ。一部の金融機関は「AIGを蹴落とす方法はないか」と、戦略の大幅練り直しに着手したところも。一方で、伊大手保険会社のゼネラリなども、新たに参戦の気配を見せているという。

  「(援助額が)安けりゃウチが再建してやったのに」と苦笑するのは、今さら手を上げるわけにも行かない国内損保ガリバー、東京海上火災保険(8751)の中堅幹部。苦難の更生手続きに突入したにもかかわらず、「名門」千代田には意外なほどの人気が集まった。

■URL
・千代田生命保険
http://www.chiyoda-life.co.jp/

(小倉豊)
2000/10/13 18:24
3/30(金)
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