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通信行政めぐり“郵政省解体論”が再燃?

  “郵政省解体論”が、97年の中央省庁再編論議以来、再びくすぶり始めた。IT(情報技術)時代の競争政策を議論する電気通信審議会(郵政相の諮問機関)・特別部会の検討課題について、同省が募ったパブリックコメントに、日本テレコム(9434)と東京通信ネットワーク(TTNet)は電気通信政策で「中立かつ強力な規制機関」が必要とする意見書を提出したのだ。両社の主張は、省庁再編議論の際に持ち上がった、電気通信行政の“政策”と“規制”の分離を改めて提起したものと言え、いわば同省の急所を突く提言。ITの競争政策はNTT(9432)の再々編問題に留まらず、所管官庁の存続問題にまで発展する可能性も出てきた。

  ●海外では政策・規制の分離が主流
  「これはもう終わった話」。郵政省の幹部は、このコメントは検討に値しない、と言いたげに一笑に付した。TTNetは意見書の中で「中立かつ強力な規制機関が必要」と主張、日本テレコムも「政治・省庁・事業者から独立した機関において、早急に競争状況を監視することが重要」と指摘している。背景には、NTT接続料の引き下げ問題の際、NTTやその意向を受けた自民党・郵政族に振り回され、当事者能力を失った郵政省への不信感がある。

  海外の電気通信行政は、法律や予算を定める政策当局と、料金認可や回線接続の裁定に当たる規制当局に分かれており、例えば英国の場合、前者を通産省に相当する貿易産業省(DTI)、後者を電気通信庁(OFTEL)が担当している。日本でも最近、公正取引委会が“政策”と“規制”の分離を求める研究会報告をまとめた。経団連も行政機能が分かれていないのは「OECD加盟28カ国の中で、トルコとポーランドと日本だけ」として、“独立規制機関”の設置を提言している。

  ●通産に「政策奪取」の野望
  実は、独立規制機関は97年の中央省庁再編議論の際に実現しかけた経緯がある。通産省が当時の橋本龍太郎首相に働き掛けて再編原案に盛り込んだ「通信放送委員会」がそれで、通産省は“VAN戦争”以来の情報通信をめぐる郵政省との所管争いに決着をつけようとした。この時は、郵政省が郵政族議員を動かして反撃に出、電気通信行政は2001年1月に郵政省や総務庁などの統合で新設される総務省に、そのまま移管されることになった。が、郵政省解体論の火種は消えてない。

  実際、一部では「公取委や経団連の提言のゴーストライターが通産省であることは明らかだし、TTNetなどの意見書も無関係ではないだろう」と囁かれている。つまり、英国の行政組織になぞらえれば、郵政省をOFTELの立場に陥れ、自らはDTIとして君臨することが通産省の野望だ。ある新電電の幹部がつぶやいた。「97年の時は、郵政省に分離分割を決められたNTTが意趣返しで通産省に味方した。今回はどう動くのか・・・」。それ次第で、郵政省解体論は“終わった話”では済まなくなる。

■URL
・郵政省
http://www.mpt.go.jp/
・NTT再々編で通産、郵政の主導権争い本格化
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/07/25/doc23.htm

(三上純)
2000/09/25 10:27
3/30(金)
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