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ベクターの公募価格は上限の120万円

  ナスダック・ジャパン市場グロースに8月11日新規上場予定のベクター(2656)は2日、公募価格が1株当たり120万円に決定したと発表した。申し込み期間は8月4日から8日まで。払込期日は8月10日。新規発行株式数は1,000株。

  ブックビルディング(需要の把握)における仮条件の同価格帯は80万円から120万円だったのでその上限で決まった。人気があったというかたちだが、120万円という価格のバリュー(価値)がどうなのか、株式市場関係者でも判断するのは難しいという見方が少なくない。

  同社はフリーやシェアソフトウェアのダウンロード販売では日本で圧倒的な存在。世界的にもあまり例がない。しかも、ソフトバンク・イーコマースグループに加わったことで、同グループの全面的なフォローも受けている。業績も2000年3月期は赤字に転落したが、書籍事業から撤退した影響などもあるので、黒字回復はそれほど難しくはないとみられる。こういった点は評価できるだろうが、ソフトウェアのダウンロード市場がどのぐらいあるのか、また、市場の成長余地はどのくらいあるかの見極めが難しいとされる。

  音楽のダウンロード販売などと比較してみるのも一法ではあるが、音楽ほどソフトウェアが一般的な商品なのかも疑問である。

  また、今後インターネットが広帯域、定額化になるに従って、ソフトウェアは販売というよりもASPによる提供に移行していくだろう。そうなると、販売による売上ではなく、ソフトウェアの使用料というように収入のかたちも変わる可能性がある。

  同社は会社案内でASPサービスを積極的に今後進めていくことを挙げている。現在は圧倒的な立場だとしても、ASPが主流となったときにどうなるかはまだ未知数な面もある。

■URL
・ベクター(IR関連)
http://www.vector.co.jp/info/ir/
・ダウンロードサイトのベクター、ナスダック・ジャパンに8月11日新規上場(INTERNET Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0714/vecter.htm

(別井貴志)
2000/08/02 22:13
3/30(金)
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