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ゼロ金利の年内解除に暗雲

  1年半にわたる「ゼロ金利政策」からの脱却を模索する日銀が、市場の突き上げと政府・与党などの包囲網の中で苦境に陥っている。次回の政策委員会・金融政策決定会合は今月11日に設定されているが、そこで強行突破的なゼロ金利解除に踏み切るのは難しい情勢。決断が9月以降に持ち越されれば、米大統領選などの”難関”が待ち構えており、年内解除にさえ暗雲が漂いかねない。

  「我が国の景気は、企業収益が改善する中で設備投資の増加が続くなど、緩やかに改善している」日銀は7月の金融経済月報の総括判断で、事実上の景気回復宣言に踏み切った。にもかかわらず、ゼロ金利政策を維持したのは、そごう問題で市場が不安定化したためだ。日銀は、ショックの沈静化に時間を置くとする異例の文書を公表し、1カ月後の決定会合における解除断行のメッセージをにじませた。

  しかし、そごう問題が日本債券信用銀行の譲渡延期問題に波及したことで、平均株価が一時1万6,000円を割り込み、円相場も1ドル=110円に向け軟化するなど、市場の不透明感は一層深刻なものとなっている。

  そうした中、7月の決定会合でゼロ金利の解除を先送りしたにもかかわらず、景気判断をあえて前進させたことが、日銀自身を追い詰めている。短期金利上昇を先読みして、長めの資金を積極的に準備していた大手銀行の資金ディーラーらが、はしごを外された恰好となったために、日銀への不信感が増幅。日銀が標榜する「市場との対話」は、今や機能不全の危機にあるのだ。

  9月に入れば、米国の株式や債券への影響に注目が集まることは避けられない。日本の余剰資金が米国の資産価格の大きな下支え要因である以上、引き締め方向の政策変更が米国株大幅調整などのリスクを高めるのは確実。加えて、11月の大統領選挙が間近に迫る政治日程も制約要因として立ちはだかる可能性は大きい。

  一方、国内でも、秋口には補正予算論議が熱を帯びる可能性があり、政府・与党の景気対策論議と、日銀のゼロ金利解除への前傾姿勢が、正面衝突する局面も予想される。

■URL
・市場は今年度補正予算に注目
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/08/01/doc81.htm
・日銀
http://www.boj.or.jp/

(小倉豊)
2000/08/02 16:29
3/30(金)
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