FINANCE Watch
トップページに戻る  
記事検索
NTT再々編で通産、郵政の主導権争い本格化

  森首相の特命による「IT戦略会議」の設置を契機に、NTTの再々編をめぐる通産省と郵政省の主導権争いが本格化してきた。郵政省は26日、電気通信審議会(郵政相の諮問機関)に「NTT法」改正を含む新たな電気通信政策を諮問、2年後の答申に向け議論を開始するが、通産省は「NTT法」などIT関連7法の一括改正を画策、IT戦略会議の合意を得て次期通常国会で一気に実現する構え。背景には、1年以内に通信および放送の競争法制をつくらなければ、日本は“IT後進国”に転落するという危機感がある。

  ●終始、通産ペースで
  IT戦略会議は、その振興を至上命題とする第2次森内閣が、有識者18人を集めて設置した政策提言機関。内閣官房の内政審議室が運営に当たり、通産省と郵政省が補佐するが、議長にソニーの出井伸之会長を充てるなど、準備は終始通産省ペースで進んだ。7月18日の初会合では「各省庁にまたがる規制を一掃する『IT一括法』が必要」(出井議長)という発言もあった。

  一方、郵政省は日米間の最大の懸案であったNTT接続料の引き下げ問題を解決したものの、米国に2年後の大幅引き下げを“公約”させられ、政策の全面見直しを迫られている。電通審の議論は(1)国が3分の1の株式を保有するNTTの完全民営化(2)東西NTT地域会社の業務領域拡大(3)NTT地域会社にのみ課されているユニバーサルサービスの見直し--などが論点。NTTを「NTT法」から解放、接続料引き下げ原資の確保を含む経営健全化を図ることが、諮問の背景の一つとなっている。

  ●2年も待てない
  しかし、その場合NTTの放送事業進出をはじめとしてIT産業で突出した市場独占が起きるのは明らか。既に通産省は、通信と放送の融合を念頭に置きながら、競争法制の整備に動き出している。「NTT法」「電気通信事業法」「放送法」「電波法」などIT関連7法の一括改正を画策。改正の骨子には新電電に対して“支配的地位”にあるNTTに、市内通信網の開放などを義務づける「非対称規制」も盛り込まれている。7法はいずれも郵政省所管の法律だが、通産省幹部は「電通審答申を2年も待っていられない」と露骨に批判する。果たして、IT戦略会議は省庁の利害を超えた法整備まで踏み込めるのか、同会議の舞台裏で通産、郵政の攻めぎあいが始まっている。
(三上純)
2000/07/25 09:40
3/30(金)
[特集] ご愛読に感謝~「FINANCE Watch」高アクセス記事集
[HOT] 契約流出招いた同業他社の誹謗中傷~東京生命破綻の内幕
[産業] NEC、グループのSCMを高度化~専門子会社設立
[ネット] セブン-イレブンがアリバのシステムを導入~グループのコスト削減狙う
[データ] 2000年の国内PCベースWS出荷が10万台突破~IDCジャパン調べ
[産業] コンテンツファンドをトータルプロデュース~C&RとJDC
[ネット] 地域密着ポータル「関西どっとコム」を設立~関西電力、博報堂など
[寄稿] 『瓦版一気読み』の連載を終えて
[連載] コラム 瓦版一気読み~最後の日「別れつらい」・・・
プライバシーについて | 編集部へのご連絡 Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.
本サイトの内容につきましては万全を期しておりますが、提供情報がシステム等に起因する誤りを含んでないこと、すべての事柄を網羅していること、利用者にとって有用であること等を当社及び情報提供者は保証するものではありません。
当社及び情報提供者は利用者等が提供情報に関連して蒙った損害ついて一切の責任を負いません。投資等の判断をされる場合は、他の資料なども参考にしたうえで、ご自身の判断でお願いします。