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「SHIBUYA TSUTAYA」誕生 渋谷の新ランドマークはレンタルからIPへ

渋谷スクランブル交差点の前に位置する「SHIBUYA TSUTAYA」が、4月25日にリニューアルオープンする。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)はオープンに先立ち、メディア向け内覧会を実施した。

リニューアル後にはレンタルサービスを提供せず、「好きなもので、世界をつくれ。」をテーマとした、様々なコンテンツを発信する施設となる。コンテンツについては「IP」(マンガやキャラクター、デザインなどの知的財産)をキーワードにしている。

SHIBUYA TSUTAYAは地下2階から地上8階までの全10フロア構成。地下2階が「エンタメワンダーランド」、地下1階と1階が「SIPS/Shibuya IP Square」、1階の一部と2階が「スターバックス コーヒー」、3階と4階が「SHARE LOUNGE」、5階が「POKÉMON CARD LOUNGE」、6階が「IP書店」、7階が「コラボレーションカフェ」となっている。8階は各フロアと連動したイベント配信機能を有するスタジオ、屋上は屋外イベントスペースとなる予定。

「好き!」を集めた地下2階 エンタメワンダーランド

地下2階のエンタメワンダーランドは、アーティスト、タレント、アイドルを中心に、消費者の「好き!」を集めたフロア。巨大パネルや吊りフラッグ、特大4Kビジョン等を活用した大型展示の実施や、CDやDVD、写真集や雑誌等のPOP UP販売を行なう。SHIBUYA TSUTAYA限定商品も展開する予定。

エンタメワンダーランド

巨大パネル前は広いスペースとなっているが、これはイベント等を実施するためではなく、巨大パネルの前に立って写真を撮るために設けている。巨大パネルに展示されたアーティストと一体となった写真が撮影できる。

巨大パネル前には広いスペースがとられているので、全体を入れた写真を撮ることができる

IPの世界観を発信する地下1階・1階 SIPS

SIPSは「世界中のIPで好きをつくるフロア」と題し、1階のSIPS Aと地下1階のSIPS Bの2フロアで展開。

SIPS Aは屋外エントランスLEDビジョンに加え、メインフロアに3面の屋内LEDビジョンを設置。世界中の様々なIPの世界観を、大画面のビジュアルを通じて発信する。オープン時には、TVアニメ「WIND BREAKER」の映像配信、フォトスポットを展開し、またオリジナルグッズや公式グッズの販売を行なう。

SIPS A
キャラクターと⼀緒に撮影できるセルフフォトブースも設置

SIPS Bでは、世界中の美術館で使用されている美術展示什器による没入感のある空間デザインの中で、アーティストや作家を含めたIPと、ギャラリー展示や物販なども可能なコラボレーション・イベントを展開する。内覧会ではSIPS Bは公開されなかった。

スタバは1階がテイクアウト専用・2階がイートイン

リニューアル前は1階と2階で営業していた「スターバックス コーヒー SHIBUYA TSUTAYA店」が、「スターバックス コーヒー SHIBUYA TSUTAYA 1F店」と「スターバックス コーヒー SHIBUYA TSUTAYA 2F店」として各階で独立。それぞれにオーダーカウンターを設ける形でリニューアルオープンする。

1F店は公園通り側の入口1階に位置し、持ち帰り専用のビバレッジのみを販売する。

スターバックス コーヒー SHIBUYA TSUTAYA 1F店

2F店は「STARBUCKS Green Ribbon」をデザインコンセプトとし、フロア全体を2つのグリーンのリボンが包み込んでいる。1つ目のリボンはベンチシートやカウンター、ゲートなどになっている。2つ目のリボンは店内の壁面に合わせて湾曲し1本につながる35mのビジョンで、デジタルアートが投影される。

スターバックス コーヒー SHIBUYA TSUTAYA 2F店
ベンチ等は1本のリボンを模したつくりとなっている。
曲線になったゲートを潜り抜けると渋谷スクランブル交差点や街並みを眺められるスペースに入るという演出
上部の35mのビジョンにはデジタルアートが投影される
スクランブル交差点側の座席
店内からのスクランブル交差点や渋谷の街を眺められる
カウンター内はスタッフが効率よく動けるつくりになっているという

シェアラウンジは3階と4階で全く異なる趣

3階と4階はともに「SHARE LOUNGE」となっているが、3階では多数のフィギュアを展示するなど、一般的にイメージするワーキングスペースとは全く異なるスペースとして展開する。

4階のシェアラウンジカウンター

3階ではフィギュアメーカーとコラボレーションし、日本が世界に誇るIPコンテンツをモチーフとした等身大フィギュアや高級フィギュアをフロアの各所に展示している。

3階に展示されているチェンソーマンの等身大フィギュア
数多くのフィギュアが展示されている
フィギュアを眺めながら仕事をしたり、くつろいだりといった時を過ごせる

また、窓際のスタンディングエリアでは渋谷スクランブル交差点を正面から一望できる。

窓際のスタンディングエリア
3階からの眺め

4階ではクリエイティブワーカー向けに、ビジネス書をはじめとした書籍や雑誌、アートを設置。半個室ブースやオープンスペースのほか、会議室も備えている。

4階のシェアラウンジ

フロア内には「GREEN FUNDING」との常設コラボレーションコーナーを設置。仕事が捗るワークスタイルを提案する製品を展示している。

GREEN FUNDINGとのコラボレーションコーナー

料金は、通常プラン1,650円/60分、アルコールプラン2,200円/60分など。各フロアに用意されているコーヒーやナッツ、パスタやチキン・ポテトなどの冷凍食品・アイスクリームを自由に飲食できる。3階と4階は行き来可能。

3階のドリンク&フードコーナー

5階ではポケモンカードゲーム体験ができる

5階のPOKÉMON CARD LOUNGEは、オリジナル対戦席でポケモンカードゲーム体験ができる。料金は1人1,650円/60分で、無料のドリンク・スナックを用意する。居心地良くゲームができるよう、全ての机や椅子などはオーダーメイドしている。

POKÉMON CARD LOUNGE

持参したカードで遊ぶほか、「ポケモンカードゲーム Classic」などのデッキやサプライなどの必要なアイテムの無料貸出も用意し、手ぶらで来店しても楽しめるようにしている。

無料で貸出しも行なう

4名まで入室可能なプライベートルームも備え、グループで周囲を気にせずにプレイすることもできる。料金は8,250円/60分。

個室も用意

物販エリアでは、ポケモンカードゲーム関連商品や、「基本エネルギー」のエネルギーマークなどのフロアデザインをモチーフとしたPOKÉMON CARD LOUNGEオリジナルグッズを販売する。

物販エリア

コミック・フィギュアを販売する6階 IP書店

6階のIP書店では、コミック・フィギュア・グッズなどを中心に販売。半数以上はSHIBUYA TSUTAYAオリジナル限定商品で、ここでしか買えない物と体験を提供する。

店内に大型ビジョンを設置し、日本全国各地のVTuberとコラボレーションした地域の盛り上げ番組およびSHIBUYA TSUTAYAランキング紹介番組などを放映予定。

IP書店

ファン同士がつながる7階 コラボレーションカフェ

7階のコラボレーションカフェは、アニメ、コミック、アーティストや、ラグジュアリーブランドを中心とした様々な世界中のIPとコラボレーションし、体験を通してファン同士がつながれる空間として展開する。

IPの世界観からインスピレーションを得たオリジナルのフード・デザート・ドリンクの提供をはじめ、フードドリンクメニューを注文した人への限定オリジナル特典プレゼントを予定。

コラボレーションカフェ

オープン時には、1階のSIPS Aと同様「WIND BREAKER」とのコラボレーションを展開する。

コラボレーションカフェ

ターゲットは若者とインバウンド

リニューアルの概要について、CCC 渋谷プロジェクト・エグゼクティブプロデューサー 鎌田崇裕氏が説明。SHIBUYA TSUTAYAが旗艦店としてオープンした2000年1月1日から24年が経過し、その間にニーズも多様化してきている。また、渋谷も若者の街から変化してきているという声もある。

鎌田崇裕氏

ただし、SHIBUYA TSUTAYA店舗前の通行者数調査では、現在も20代の数が多く、さらに女性比率が高いことがわかっている。また、訪日外国人旅行者が訪問した場所の推移を見ると、浅草や銀座と比べても渋谷が突出して伸びている。実際、同店内のスタバは60%が外国人となっているという。こういったデータから同店では、若者とインバウンドをターゲットとして展開する。

ただしCCCで考えているのは、B to Cのビジネスモデルではなく、B to C to Bであると説明。若者やインバウンドに向けてコンテンツを発信したいコンテンツホルダーをターゲットとしたビジネスモデルを展開する。その上で、「IP」をテーマに、「コンテンツ」と「体験価値」を見据えたフロア構成とし、「世界に発信するプロモーション」をビジョンに掲げる。

「コンテンツ」と「体験価値」の点では、駅周辺で不満・不便に感じることについてのアンケート結果に着目。渋谷周辺で多い数字となっている「カフェが混んでいる」「休憩できる場所が少ない」というニーズに、スタバやシェアラウンジで応える。そのほか、POKÉMON CARD LOUNGEが、体験価値を提供するフロアの1つとなる。

また、スタバでは従来より、外国人客が2階からスクランブル交差点の様子を写真に収める姿が多く見られたという。こういったことから、2階のみならず、3階や4階にも交差点や渋谷駅前、再開発が進む周辺の様子が見える場所を設けた。

プロモーションについては、店内はもとより、屋外に様々な角度から見える大型LEDビジョンを設置。駅改札から出てきた人を中心に、多くの人に対してプロモーションができるとともに、多くの人にSHIBUYA TSUTAYAを楽しんでもらえる構成にしている。

各フロアでイベントや記者会見ができるほか、音と映像を即時的に配信できるインフラを導入している。ディレーなくYouTubeや放送に接続することによる、広域発信も視野に入れている。

リニューアルにより1つのフロアに長時間滞在し、フロア間の移動などの回遊が少なくなるようにも感じるが、その点についてCCC代表取締役社長 兼CEO 高橋誉則氏は、「1つ1つのフロアの引きが強く、好きに対して反応していただけることを目指している一方で、スタバに来たお客様が、自身で新しい場所の楽しみ方をデザインしてくれることも期待している」と説明した。

高橋誉則氏

来館者数は、リニューアル前はピークで1日2万人ほどだったが、リニューアル後は予測値として3万人を見込んでいる。

なお、リニューアルオープンによる多くの来店が想定されるため入館規制を行なう。事前予約ができるフロアの予約券を持っている場合は、予約時間10分前から1階公園通り側(西武百貨店側)入口に並べる。予約をしていない人に対しては、当日、整理券を配布する。