- 2012年発売「ARROS V F-04E」がAndroid 4.2にアップデート
- ホームアプリやキーボードが改善、カスタマイズの幅も広がる
- アプリ一括終了やロック画面のウィジェット表示機能などが追加
- Android 4.1の新機能「Google Now」も利用可能に
- 無料で5GBのオンラインストレージ「データ保管BOX」やNOTTV録画も対応
- GPSの測位時間が大幅に改善。端末自体のパフォーマンスも向上
- OSアップデートで最新機種とも肩を並べるハイスペック端末に成長
Index
2012年発売「ARROS V F-04E」がAndroid 4.2にアップデート
ARROWS V F-04Eは、NTTドコモが2012年11月に発売した富士通製のAndroidスマートフォン。当時NTTドコモが掲げていた「NEXT series」「with series」という2つのブランドのうち、ハイスペックよりも使いやすさや親しみやすさを追求する「with series」として発売されたスマートフォンだ。
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with seriesとはいえ、クアッドコアCPUや2GBの大容量メモリに加え、当時はもちろん今もAndroidスマートフォンとして最大クラスの容量である64GBの内蔵ストレージなど、ハイスペックモデルのブランドである「NEXT series」に勝るとも劣らない充実したスペック。さらに大画面化、大サイズ化が進むスマートフォンにおいて、HD解像度ながらも横幅65mmと持ちやすいコンパクトなサイズを実現していたのもF-04Eの特徴だった。
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一方、OSに関しては当時でこそ最新に近いAndroid 4.0を搭載していたが、1年もの間に最新モデルの主流はAndroid 4.2になっている。成長の早いスマートフォン業界において1年も前の端末という点では仕方のない部分ではあったが、昨年11月、待望の「Android 4.2OSバージョンアップ」が実施された。
今回のアップデートによってOSバージョンが最新モデルとほぼ同等の4.2にバージョンアップし、OSの面でも現行モデルと十分遜色ないスペックに仕上がっている。
4.0から4.2へとバージョンを1つ飛ばした大幅アップデートにより、F-04Eはどのような変化を遂げたのか。実際の使用感を交えながらF-04Eのバージョンアップ内容を紹介しよう。
ホームアプリやキーボードが改善、カスタマイズの幅も広がる
F-04Eのアップデートは、無線LANに接続できる環境であれば本体から直接アップデートできるほか、パソコンを利用して行なうことも可能。本体から行なう場合は無線LANに接続した状態で、設定の「端末情報」「Androidバージョンアップ」から実行できる。パソコンの場合はWebサイトからアップデートファイルをダウンロードし、F-04EをPCと接続して実行すれば可能だ。どちらもアップデートには40分近くを要するため、アップデートは余裕を持って行なうようにしよう。
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アップデートで最もわかりやすい効果がホーム画面の仕様変更。F-04EにはNTTドコモの「Palette UI」、富士通の「NX!ホーム」という2種類のホームアプリが用意されているが、どちらも使いやすさを向上するマイナーチェンジが図られた。
Palette UIでは、ホームに表示するアイコンのサイズが一回り大きくなり、目的のアプリをより簡単にタッチしやすくなっている。1画面に並べられるアプリの数が増えるわけではないが、アプリ間の無駄なすき間がなくなったことでアプリを押しやすくなっただけでなく、すき間が多く間延びしていた以前のホーム画面よりも見やすくなった。
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一方、「NX!ホーム」はアプリのアイコンをカスタマイズできる機能が追加。アップデート前は、カメラやブラウザなど特定のアプリをドックに登録した時のみオリジナルのアプリアイコンが表示されたが、アップデート後はドックだけでなくホーム画面のアプリすべてにオリジナルアイコンを設定できるようになった。
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オリジナルアイコンはブラウザやカメラ、ギャラリーといった標準的なものだけでなく、FacebookやTwitterのアイコンも用意されており、ホーム画面を自分好みのデザインに変更することができる。また、NX!ホームのメニューには新たにウィジェットも加わり、アプリ一覧からではなくホーム画面から直接好きなウィジェットを選んで追加できるようになった。
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NX!ホームでは、アプリとアプリを重ね合わせることで複数のアプリを1つにまとめられるフォルダ機能を搭載しているが、このフォルダ機能もアップデートでバージョンアップ。これまでは4×2で最大8個までのアプリが横長に表示されていたが、バージョンアップ後は3×3の9個まで対応し、フォルダ自体も正方形になったことでコンパクトかつ見やすくなっている。
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文字入力「NX!input」も使い勝手が改善され、キーボードの縦と横のサイズを変更できるようになった。文字入力の際に画面の反対側まで指が届かない、という場合はキーボードのサイズを変更し、文字を入力する指の側にキーボードを寄せることができる。F-04Eは最近のスマートフォンとしてはコンパクトなサイズではあるものの、手の大きさに合わせてキーボードのサイズを調整できるのは便利だ。また、キーボードデザインもプリインストールのものだけでなく、好きな画像をキーボードの背景に設定できる機能が追加された。
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アプリ一括終了やロック画面のウィジェット表示機能などが追加
マルチタスク機能も改善が図られたポイントだ。F-04Eではホームボタンを長押しすると起動中のアプリを一覧表示し、好きなアプリに切り替えられるマルチタスクが表示されるが、バージョンアップ後は起動中のアプリをすべて終了できるボタンがマルチタスクに追加。使い終わったアプリなどが起動を続けているとバッテリーやメモリを無駄に消費してしまうが、今まではマルチタスクからアプリを横にスライドして1つ1つ終了する必要があったのに対し、アップデート後はボタン1つでアプリをすべて終了できるので非常に便利だ。
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ロック画面もアップデートの大きなポイント。Android 4.2の新機能である「ロックスクリーンウィジェット」およびスクリーンセーバー機能「DayDream」がF-04Eでも使えるようになった。
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ロックスクリーンウィジェットは、通常ホーム画面に設置するウィジェットをロック画面にも表示できる機能。画面を左端から右にスワイプするとウィジェットの追加画面になり、好きなウィジェットをロック画面に表示できるようになる。便利な機能だが、設定するウィジェットは注意が必要だ。時計や天気などであれば問題ないが、メールアプリなどはロックを解除せず中身が読めてしまうため、どのウィジェットを設定するかはよく考えよう。
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もう1つのDayDreamは、充電中のホーム画面にスクリーンセーバーを表示できる機能。スクリーンセーバーは「時計」「Googleフォト」「カラー」「フォトテーブル」「フォトフレーム」の5種類から選択できる。「時計」は時計ウィジェットを、「カラー」は虹色のアニメーションが表示され、残りの3種は本体内の写真を表示する仕組み。Googleフォトは同名のアプリで自動バックアップした写真を表示し、「フォトテーブル」は複数の写真をアニメーションで同時に表示、「フォトフレーム」は写真を1枚ずつ順番に表示するフォトフレームとして利用できる。
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このほか、ロック画面からのカメラ起動も操作方法が変更された。アップデート前はカメラボタンを押すことで直接起動できたが、アップデート後はセキュリティ向上のためか標準設定ではロック画面からカメラを起動できず、設定の「セキュリティ」から「左にスライドでカメラ起動」にチェックを入れ、ロック画面で右端から左にスワイプするとカメラを起動できるようになる。
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Android 4.1の新機能「Google Now」も利用可能に
アップデートにより、Androidの新機能もF-04Eで利用できるようになった。Android 4.2で搭載されたロックスクリーンウィジェットやDayDreamは前述した通りだが、他にもAndroid 4.1で搭載されたGoogle Nowも新たなトピックの1つだ。4.2へアップデートした後、Google検索アプリを立ち上げるとGoogle Nowを利用できる。
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Google Nowは、端末のGPS情報やメール履歴などからユーザーの行動を推測し、さまざまな情報を提供してくれるGoogleのサービスだが、面白いのはその内容。GPSを使って最寄り駅の時刻表や周囲の映画館情報を通知する程度は朝飯前で、平日いつも同じルートで移動するとそのルートを「通勤・通学」と自動で判断し、出勤にかかる時間を表示したり、Amazonの購入履歴メールから「いつこの製品が届くよ」なんて情報まで教えてくれる。
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いずれもコンピュータの自動判断のため完全な情報では無く、たまには間違いもあるし、すべての発送情報がGoogle Nowで届くわけではないが、機能としては非常に面白い試みだ。完全に頼る存在ではなく、あくまでオマケとしてオンにしておく程度であれば十分に便利で役に立つ機能。「こんなことまで通知してくれるのか!」という驚きもあり、未体験の人はぜひ一度使ってみて欲しい。
細かな点ではステータスバーの通知も改良。これもAndroid 4.1の機能だが、新着メールの通知からそのまま返信したり、電話の不在着信から折り返すということがステータスバーからそのままできるようになる。特に不在着信などはアプリを立ち上げてから不在着信を選んで折り返す、という手順を大幅に簡略化できるため、地味ながらも便利な機能だ。
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無料で5GBのオンラインストレージ「データ保管BOX」やNOTTV録画も対応
Android標準機能に加えて、アップデートによってNTTドコモのサービスも利用できるようになる。それがデータ保管BOXとNOTTVの録画機能だ。
データ保管BOXは、NTTドコモが運営するクラウドオンラインストレージで、DropboxやSkyDrive、GoogleドライブのNTTドコモ版、と考えるとわかりやすい。機能は非常にシンプルながら無料で5GBまで利用可能。アップロードしたファイルを他の人がダウンロードできるURL機能もあり、シンプルながらも機能はしっかりと作られている。スマートフォンで撮った写真を友達に送りたい時などに重宝するだろう。
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NOTTVの録画機能はその名の通りNOTTVユーザー向けの機能強化で、2013年夏モデルから対応した新機能。2012年冬モデルであるF-04Eはこの機能の対象外だったが、今回のアップデートで録画もできるようになった。テレビと同様リアルタイムで配信されるNOTTVは、時間帯によっては見たい番組を見ることができなかっただけに、録画して好きな時に視聴できる機能はNOTTVユーザーには非常に嬉しい機能追加だろう。
GPSの測位時間が大幅に改善。端末自体のパフォーマンスも向上
こうした数々の新機能の陰に隠れながらも、アップデートで地味に向上した機能がGPS。こちらは新機能ではなく機能改善だが、XiエリアでGPSの測位に時間がかかる事象が改善されているという。
このGPS測位に時間がかかる症状は、筆者もまさに体験した1人。道に弱い筆者にとってGPSを使った地図アプリは肌身離せないほど重要なのだが、F-04Eは測位に時間がかかるため、目的地まで歩きだそうにも測位が終わるまでどの向きに進んでいいか分からない。また、測位が終わって移動中、マルチタスクでブラウザやFacebookを軽くながめ、再びアプリに戻るとまた測位に時間がかかってしまうため、F-04Eで地図アプリを利用中は他のアプリを開くことをできるだけしないようにしていた。
しかしアップデート後は測位時間が大幅に改善。F-06EやF-01Fといった最新モデルと比べると若干の遅さはあるものの、それでも十分実用範囲内の時間で測位が完了するようになった。また、前述のようなマルチタスクで他のアプリを見ていた場合も、再測位のスピードが大幅に上がったため、地図アプリで移動中も気軽に他のアプリを立ち上げられるようになった。
どれくらい測位時間が改善されたのか、アップデート前後のF-04Eを1台ずつと、富士通の最新モデル「ARROWS NX F-01F」の合計3台を使い、GPSアプリ「GPS Status & Toolbox」を利用して同時にGPS測位を実施。捕捉できた衛星の数はF-01Fが最も多く、F-04Eはどちらも同程度の数だったが、測位時間と実際に測位できた衛星の数は大きくわかれ、アップデート後のF-04EはF-01Fに若干遅れる程度のスピードで測位が完了したのに対し、アップデート前のF-04Eは測位に時間がかかるだけでなく、実際に測位できた衛星の数も大きな差がついた。
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さまざまな新機能に比べると地味な改善ではあるが、個人的にはアップデートする理由ナンバーワンに挙げたいほど素晴らしい機能改善だ。
アップデートにより端末のパフォーマンスも向上。ベンチマークアプリでアップデート前、アップデート後それぞれで計測したところ、どちらのアプリともアップデート後はベンチマークの測定結果が向上。実際の操作感もアップデートにより滑らかさが向上しており使いやすくなっている。
OSアップデートで最新機種とも肩を並べるハイスペック端末に成長
OSアップデートによる機能の追加や機能の改善など、大幅なパワーアップを遂げたF-04E。AndroidのOSは現状4.4が最新だが、2013年冬モデルの最新機種でも4.4はおろか4.3搭載機種でも少なく、現行の最新機種は4.2が中心だ。
スペック面でも元々クアッドコアCPUに2GBメモリ、64GBストレージと、現状の最新モデルと同等かそれ以上のスペックを有しているF-04Eだが、OSが最新機種とほぼ同等の4.2にアップデートしたことで機能面でも十分な性能を有するスマートフォンへと進化した。既存ユーザーはもちろん、新規に契約するユーザーにとっても、現行製品と肩を並べられる魅力的な端末になったと言える。
また、隠れたF-04Eの魅力がバッテリーを交換できるということ。最近のスマートフォンは薄型化とバッテリー大容量化を両立するために、バッテリーが交換できないモデルが増えており、富士通製スマートフォンも2013年夏モデル以降はバッテリー一体型になっているが、F-04Eは2420mAhという大容量ながらもバッテリーを交換できるすることができる。スマートフォンのバッテリーは非常に酷使されやすいため、1年前に購入したユーザーも、このアップデートを機会にバッテリーを新品に交換するとさらに便利になるだろう。新機種へ機種変更する代わりにバッテリーを1個追加する、という使い方も便利そうだ。
(甲斐祐樹)
ARROWS V F-04E Android 4.2.2 OSバージョンアップトップ - FMWORLD.NET(個人) : 富士通