らくらくスマートフォンの使いやすさにGoogle Playが加わったプレミアムモデル
「プレミアム」の名を冠するF-09E最大の特長はGoogle Playへの対応。富士通がこれまで発売してきた「らくらくスマートフォン」シリーズは、スペックこそ高いもののGoogle Playには対応していないため、アプリによるカスタマイズ性はさほど高くなかった。これに対してF-09Eは他のスマートフォンと同様にGoogle Playを利用して自由にアプリを追加し、自分好みのスマートフォンにカスタマイズすることができる。
テザリング対応もF-09Eの特長。らくらくスマートフォンおよびらくらくスマートフォン2は、低廉な料金の専用プランが用意されていたが、通信できるのはスマートフォン単体のみで、テザリングは利用できなかった。F-09Eはらくらくスマートフォン用の料金プランを適用できないものの、テザリングを利用して最大8台の無線LAN機器を接続できる。
こうしたGoogle Playとテザリング以外のスペックは、らくらくスマートフォン2とほぼ同等。1.7GHz駆動のクアッドコアCPU(APQ8064T)、2GBのメモリ、解像度540×960ドットの約4.3インチディスプレイを搭載。また、内蔵ストレージはらくらくスマートフォン2の8GBに対し、アプリを自由にインストールできるように倍の16GBストレージを搭載する。
機能面ではワンセグや富士通製スマートフォンでおなじみの指紋認証こそ対応しないが、おサイフケータイや赤外線通信、GPSといった機能のほか、IPX5/IPX8の防水およびIP5Xの防塵機能を搭載。通信面も下り最大100MbpsのXiに加え、無線LANは最新のIEE 802.11acを含む11a/b/g/n/ac、Bluetoothは最新の4.0をサポート。背面カメラは高輝度フラッシュを備えた810万画素CMOS。
スペック、機能面ともに、他のハイスペックスマートフォンと比べても遜色ない仕上がりになっており、「いままでのらくらくスマートフォンとは、なにかが違う」と感じさせる。
らくらくタッチパネルでフィーチャーフォンの使いやすさを再現
F-09Eのホーム画面やメニューは、らくらくスマートフォンシリーズでおなじみの独自インターフェイスを採用。複数のホーム画面を横にスライドする形式ではなく、アプリや設定アイコンが縦に並ぶ形式。Google Playからインストールしたアプリも画面下部に追加されていくようになっており、Windows Phoneに近い画面構成だ。アプリのアイコンも1つ1つが非常に大きく、押しやすさと見やすさを重視したサイズになっており、画面を縦にスクロールすることですべてのアプリや機能が見渡せるためわかりやすい。
こうしたわかりやすく操作しやすい画面構成に加え、タッチパネルにも独自の操作方法を搭載。画面にタッチするだけでアプリを操作できる一般的なスマートフォンと違い、らくらくスマートフォンは、画面に触るとまず青いワクなどが表示され、そこから画面を軽く押し込むことでアプリが反応し、同時に画面が振動する「らくらくタッチパネル」を採用した。フィーチャーフォンの物理ボタンのような「押した感覚」を再現しているわけだ。
画面上部の通知エリアもこの操作方法用にカスタマイズ。一般的なAndroidは上部の通知エリアをタッチしながら画面下にフリックする方法が主流だが、F-09Eの場合は画面上部を押すと通知エリアが開くようになっている。物理ボタン中心のフィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えると操作性の違いにとまどうことも多いが、F-09Eは大きなボタン中心の画面構成やボタンを押した際の感覚を再現するなど、スマートフォンに慣れていないユーザーでも使いやすい。
Google Playから自由にアプリをインストール
こうしたらくらくスマートフォンならではの使いやすさに加え、アプリを自由に追加できるのが「プレミアム」であるF-09Eの魅力。ほぼ同様のスペックである「らくらくスマートフォン2 F-08E」は購入時からインストールされているブラウザやメールといった基本機能のほか、NTTドコモの「dマーケット」から一部アプリを追加できるが、F-09Eはこれに加えてGoogle Playから好きなアプリを自由に追加できる。
Google Playから利用できるアプリに制限はなく自由に追加が可能。FacebookやTwitter、LINEといったソーシャルメディアアプリはもちろん、ホームアプリをインストールしてホーム画面を切り替えることもできる。こうしたカスタマイズ性の高さは従来のAndroidスマートフォンと同等だ。
Google Playでインストールしたアプリは、初期状態では画面下部にある「ダウンロードアプリ」に一括して表示されるが、設定の「ホーム画面の設定」「アイコンの並び替え」から自由に変更することが可能。ダウンロードアプリ内では画面に4つ並んで小さく表示されるアプリも、位置を上に表示すると他のプリインストールアプリと同様大きなアイコンで表示できる。Google Playによる自由なアプリ追加と、らくらくスマートフォンならではの使いやすいインターフェイスをうまく組み合わせることが可能だ。
また、らくらくスマートフォン独自の画面を押し込む操作感と、Google Playを利用してインストールしたフリック中心の操作は併用することも可能。らくらくスマートフォンにプリインストールされている「NX!input for らくらく」は、従来の携帯電話同様ボタンを何回も押すことで入力文字を選択するトグル式だが、ATOKなど別の文字入力アプリをインストールした場合はフリック操作でも文字入力を行なうこともできる。
ただし、フリックではないタッチ操作の場合、通常であればタッチで選択できるボタンも押し込まなければ反応しないため、小さなボタンを指で押すのが難しい。こうしたGoogle Play経由のアプリを多用するのであれば、らくらくタッチを設定からオフにするのも手だ。
見やすいディスプレイやユーザー専用SNSで使いやすさをサポート
使いやすさを重視した画面インターフェイス、物理ボタンの押した感覚を再現するらくらくタッチ、Google Playによる自由なアプリ追加に加え、富士通ならではの使いやすさも充実。短縮番号へ1タッチで通話できる3つのワンタッチダイヤルに加え、周囲の騒音に応じて受話音を強調する「スーパーはっきりボイス4」など、充実した通話機能を搭載。ハンズフリー通話でも相手の声が聞こえやすいよう、大音量のフロントスピーカーも備えている。
画面の使いやすさも追求されており、通常は赤・緑・青の3色で表示される液晶ディスプレイに白を加えた「WhiteMagic」技術により、最高輝度時に消費電力を最大約50%削減と低消費電力性を高めたほか、初代らくらくスマートフォン「F-12D」と比べ最大輝度が約2倍以上だから、これまで見にくかった太陽光の下でも明るく、見やすい。省電力性と見やすさの両方が強化された。
タッチパネルの操作性も以前から改善が図られており、パネルの押す力を検出する専用ICの搭載や振動専用の制御プロセッサを搭載。らくらくスマートフォンの初代モデル「F-12D」よりも少ない押し込みで反応する「軽い押し感」を実現している。
カメラもディスプレイ全面に撮影画面を表示する見やすい画面インターフェイスに加え、画面をタッチした場所へピントを合わせて自動でシャッターを切るタッチシャッター機能を搭載。撮影メニューも動画や静止画の切り替え、撮影サイズの変更など最低限の機能に絞り込まれており、ホワイトバランスや露出補正などはカメラが最適な設定へ自動で調整してくれるため使いやすい。
スマートフォンに搭載された機能だけではなく、サービス面でも使いやすさをサポート。らくらくスマートフォンの使い方を電話で教えてくれる専用窓口「らくらくホンセンター」は、ホーム画面からボタンを押すだけで通話ができる。さらにらくらくスマートフォンユーザーを対象とした専用のSNSも開設。同じ趣味のユーザーを探してコミュニケーションする場を提供するとともに、業者による書き込みを防ぐための専用スタッフによる24時間チェックも運用するなど、ユーザーの安全面も意識されている。
カスタマイズ性を備えた「プレミアム」ならくらくスマートフォン
らくらくホンの要素をスマートフォンにも取り入れたらくらくスマートフォンだったが、これまではGoogle Playに非対応だったため、スマートフォンの魅力であった自由なカスタマイズを楽しむことができなかった。F-09EはGoogle Playによるアプリ追加要素を追加しながらもらくらくスマートフォンならではの操作性や使いやすさも持ち合わせる、まさに「プレミアム」ならくらくスマートフォンだ。
ターゲットとするユーザーも、これまでのようにシニアだけではない。フィーチャーフォンからスマートフォンに移行して、タッチ操作や文字入力などスマートフォン独特の使い勝手に慣れない人や、よりシンプルにスマートフォンを使いたい人に向けたスマートフォンがF-09Eだ。クアッドコアCPUや「WhiteMagic」ディスプレイなど基本スペックも高く、満足度は高い。
スマートフォンの本体カラーもPrecious Black、Silky Whiteの2色が用意されており、ビジネスマンや女性ユーザーにも使いやすく魅力的な1台だ。
(甲斐祐樹)