ARROWS × ケータイ Watch

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おじいちゃんおばあちゃんだってスマートフォンを使いたい!

「らくらくスマートフォン2」をおばあちゃんに使わせてみた

ニュースや新聞、街中や電車の中でこれだけ多くのスマートフォンを目にすれば、誰だって「スマートフォンって便利なのかも?」と思うのは当然。街中や喫茶店、駅や電車で画面をスイスイしたりグルグルしている人を見かければ、おじいちゃんやおばあちゃんにも、スマートフォンは魅力的に見える。「そろそろスマートフォンにしたいんだけど」なんて相談をされた読者も多いだろう。

そんなときあなたなら、どう答えるか? おそらく「難しいからやめたほうがいい」だろう。確かにスマートフォンは多機能な反面、設定等が難しい。

しかし、むげに「スマートフォンは難しい」と切り捨ててしまう前に、ちょっとだけおじいちゃん、おばあちゃん立場で考えて欲しい。おじいちゃんやおばあちゃんもスマートフォンにはとても興味があり、使ってみたいというのがホンネ。むげに「難しいからやめろ」といわれても、難しいかどうかを判断するのはおじいちゃんやおばあちゃんだ。

それに、ボタンの少なさや直感的な操作など、「スマートフォンならでは」のわかりやすさもある。「おじいちゃんおばあちゃんにスマホは無理」、とは限らないのだ。

ここでは、お年寄りでもそこそこ使え、それほど質問攻めにあわない、いい塩梅の落としどころにある「らくらくスマートフォン2」を紹介したい。

00-02A.jpg 5年間フィーチャーフォンを使ってきた70歳を過ぎたおばあちゃん。そろそろスマートフォンに乗り換え? 00-02B.jpg らくらくスマートフォン2は、おじいちゃんおばあちゃんにちゃんと使えるのか?

UIがデカい! わかりやすい!

らくらくスマートフォン2の良いところは、ハード、ソフトともにUIが大きくデザインされていること。

ボタン類は大きく、しかもわずか4つに集約。左側に電源ボタンとボリュームボタン、正面にあるのはホームボタンだけ。一般のスマートフォンにあるメニューや戻るボタンはなく、ホームボタンを押せば「どんな状態からでも、ホーム画面に戻れる」ようになっている。メニューが深く入り組んだスマートフォンでも、このボタンでホームに戻れるということさえ覚えておけばいいので、おじいちゃんおばあちゃんは安心できるだろう。操作方法を教えるこちらとしても、とにかくホーム画面から説明できるので都合がいい

さらに、一般的なスマートフォンだとわかりづらい場合が多い「耳に当てる部分(スピーカー)」が、はっきりと分かるデザインになっているのも◎。おじいちゃんおばあちゃんは、スマートフォンのどの部分を耳に当てたらいいのか分かりづらく困っている人が多いのだ。

01-01.jpg 耳を当てるスピーカ部分が大きく分かりやすくデザインされている。ホームボタンも大型で「押し込んだ感」がある 01-02.jpg ボリュームや電源ボタンも大きく、しかもそれぞれのボタンの形状を変えてある 01-04A.jpg 一般的なスマートフォンはホームキー、メニューキー、戻るキーなどがあるが、らくらくスマートフォン2(左)は大きなホームボタンがあるのみ 01-04B.jpg カメラのシャッターボタンが独立して付いている。手軽に使える「らくらくカメラ」にもなりそうだ

またホーム画面も特徴的で、簡単に電話したり、メールができるようになっている。らくらくホンでおなじみの1~3の短縮ダイヤルもスマートフォン上に再現されている。ボタンの長押しなどはなく、1つのボタンに1つの機能が割り当てられ、ボタンの数もフィーチャーフォンよりはるかに少ないので、普段使いなら、らくらくスマートフォン2のほうが、フィーチャーフォンより操作を覚えやすいだろう。カーソルキーをはじめとする多数のキーを押して目的の機能にたどり着かなくてはいけないフィーチャーフォンに比べ、より直感的に操作できるというスマートフォンの利点を、高齢者向けに最大限に活かしているのだ。

01-05.jpg らくらくスマートフォン2のホーム画面。「見ればわかる」簡明さ
02-04.jpg 電話帳やメールの文字も大きく太く表示されるので読みやすい
01-06.jpg 「らくらくホン7」(左)と比べても、あらゆるUIがさらに「大きく」「わかりやすく」デザインされている

「どこを押した」かハッキリわかりやすい!

従来型のケータイとスマートフォンの最大の違いは、キーが物理ボタン式かタッチパネル式かの違い。歳をとったおじいちゃんおばあちゃんがスマートフォンで一番困るのは、キーの操作感がないタッチパネルの操作だ。つまり、「ボタンがちゃんと押せたのかどうか分かりにくい」、そして「どのキーを押したのか分かりにくい」だ。

02-01.jpg ケータイのボタンは、スイッチ式なので触感で押したかどうか判断できるが、一般的なスマートフォンは、きちんとキーを押したかどうかは画面を見ることでしかわからない

どちらも分かりにくさをカバーするために視力を使う。ボタンが押せたかどうかは、画面の文字や変化を注視し、どのボタンが押せたのかは一瞬反転表示されるボタンを見逃さないようにしなくてはいけない。これはお年寄りじゃなくても分かりづらい人がいるので、一般的なスマートフォンでも、クリック音を出したり、一瞬バイブさせたりということができる。

でもおじいちゃんおばあちゃんは、タッチパネルの操作性をカバーする視力が落ちているだけでなく、人によっては聴力やバイブの感覚も鈍くなっている。そこでらくらくスマートフォン2では、視覚、聴覚、触覚に与える感覚をより強くして、従来型のケータイに近い操作感を実現しているのが特徴だ。

視覚 ボタンが押される前に、まず強調表示されて選ばれていることを明示する
聴覚 ボタンのクリック音を発する
触覚 バイブを使っているが、ボタンを押し込んだような感覚を再現

02-03.jpg 選んだボタンが(短縮3番ボタン)青枠で表示され、さらに強く押すとボタンを押したことになる。押した瞬間クリック音とバイブで押したような感覚がフィードバックされる

このようにボタン操作は、まず触れているボタンを明示してから、ボタンとして機能する。言うなれば2段階の操作になっているので、違うボタンに触れてしまっても、ボタンを押す前に指を離せば誤操作することがない。視力はまったく衰えていないという元気なおじいちゃんおばあちゃんは、通常のスマートフォンと同様の設定にすることも可能だ。

「できること」を絞っているのでわかりやすい!

スマートフォンを難しくしているのは多機能さだ。できることが多いと、かえって人は混乱してしまう。そこでらくらくスマートフォン2は、数ある機能をうまく隠したり、機能をわかりやすく表現することで、操作を簡単・明確にしている

たとえばホーム画面。最初の画面では電話とメール、インターネットなどよく使うもののみが表示されており、下にスクロールさせるにつれ、他の機能も表示される。細々としたアプリは、あらかじめ分かりやすく分類され「開く」ボタンを押すとはじめて表示されるようになっている。

03-01.jpg ロック画面の解除も縦スライド。基本的にスクロールやスライド操作は縦のみ。横スクロールが必要な場合は、左右ボタンが表示される
03-03.png メニューの続きを表示するには縦スクロールさせる
03-04.png 「開く」ボタンを押すと、分類されているアプリのアイコンが表示される

実際におばあちゃんに使ってもらった

らくらくスマートフォン2の使い勝手をまだおじいちゃんとは言えない筆者が語ったところで、絵に描いたモチでしかない。そこで実際におばあちゃんに数週間使ってもらってみたところ、意外な部分の評価が高かった。

04-01.jpg 孫にレクチャーを受け、すっかり使いこなしていたおばあちゃんが、らくらくスマートフォン2の使いやすさを説明する。スライドもなれた手つきで見せてくれた

マニュアルが大きくて読みやすい

添付のマニュアルはA4サイズで、カラー写真やイラストが大きく描かれ、大きな文字で優しく説明されているので読みやすいという。

04-03.jpg 片ページがA4サイズ。1ページに画面が4枚のみ掲載されているので、かなり大きい

通話相手の声が聞きやすい

どうやら「スーパーはっきりボイス4」の搭載で、今まで自分が利用していたらくらくホンより、相手の声が聞きやすいということだ。

音声認識が正確でメールを打つのにも便利

ちょっとした文章なら、音声認識機能でメールが打てるので肩がこらなくていいということだ。またこれまではインターネットで調べ物をすることはほとんどなかったが、音声認識で簡単に検索できるので、使い道が広がったという。

04-05.jpg おばあちゃんいわく、従来型のらくらくホンより、ちょっとした調べものをするのに便利になったという。とくに音声入力がお気に入りだ

話題のスマートフォンが使えればうれしい!

筆者や読者にしてみれば、「らくらくスマートフォンなんてスマートフォンと呼べない」と思ってしまう。しかしスマートフォンの使い方は千差万別、千差万別だからスマートフォンなのだ。要は使ったその人が、従来のケータイより便利に使えればスマートフォンを使いこなしていると考えたほうがいいのかもしれない。

ケータイを使い始めて5年、すでに70歳を越えたおばあちゃんだが、らくらくスマートフォン2を使って友達にメールしている姿や、趣味でよく行く美術館を音声検索で調べている姿は、なかなか印象的だった。「スマートフォンは難しいから高齢者には向かないもの」と決め付けるのはよくないようだ。なにより本人がスマートフォンを使いたがっているのだから、操作の飲み込みも早くすぐに使いこなせるようになる(まさか、音声認識まで使いこなしているとは筆者も思わなかった)。

04-07.jpg カメラで撮った他の写真はどうすればいいの?というおばあちゃんの質問に、その場で操作方法を教えてくれる孫(筆者の子)。らくらくスマートフォンをきっかけに、孫とのコミュニケーションも楽しくなる。子どもは子どもで、教えられる立場から、教える立場になって楽しそうだ

そしてスマートフォンは、メールや通話をする単なるコミュニケーションツールではないことに気づかされた。従来型のケータイにはさっぱり興味のない子ども(高校生と小学生)たちだが、たとえ「らくらく」と名づけられていてもスマートフォンはスマートフォン。あれや、これやと操作しては、おばあちゃんに便利な使い方を教えてあげたり、おばあちゃんのリクエストに答えて設定をしてあげていたのだ。らくらくスマートフォンは、リアルのコミュニケーションのきっかけも作り、孫たちとの距離を身近にしてくれるようだ。

藤山哲人 家電を機能からだけでなく、科学や物理からも斬り込むテクニカルライター。しくみを知らずして家電を語るべからず!をモットーにする、ただのメカフェチとも......。使った家電は、おもむろに分解......。エンジニアたちの汗と涙をパーツと機構から読み取るのが趣味! プログラムやハードウェア開発もするバリバリの技術者かと思いきや、アニメやフィギュア、コスプレの撮影・執筆もする「萌え」の分かるオヤジ少年。秋葉原のいいカモとなっている。

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