イー・モバイル初の防水・防塵対応となるハイスペックスマホ
これまでイー・モバイルのAndroidスマートフォンは、テザリング機能を中心に据えつつその他の機能は絞り込んだシンプルなモデルが多かったが、ARROWS Sはフルスペックスマートフォンを売りとするARROWSブランドらしく、非常にスペックが充実しているのが特長だ。
イー・モバイルとしては初となる防水・防塵対応に加え、オートフォーカス対応の1,310万画素カメラ、赤外線やワンセグ、おサイフケータイにも対応。さらに富士通製スマートフォン独自のスマート指紋センサーによる指紋認証にも対応しており、イー・モバイルユーザーとしても待望のフルスペックスマートフォンと言えるだろう。
OSはAndroid 4.1、CPUは1.5GHzクアッドコアのSnapdragon APQ8064、メモリーは2GB、内蔵ストレージは32GBと、最新のハイスペックモデルと比較しても遜色ない充実したスペックだ。
ディスプレイは4.7インチで1,280×720ドットのHDサイズで、本体サイズは約65×129×10.8mm、重量は約151g。ハイスペックモデルで採用の進むフルHDディスプレイと比較すると解像度は落ちるものの、4.7インチで幅65mmというサイズは片手でも持ちやすい。HDのディスプレイと本体サイズのバランスが取れたサイズ感と言える。
月額4,000円程度で維持できるARROWS S専用の料金プラン
なお、ARROWS Sはイー・モバイルが販売する端末ながら、通信回線はソフトバンクモバイルのネットワークを採用している。これは2013年1月より、イー・モバイルを運営するイー・アクセスがソフトバンクグループに加わったことによるもので、ソフトバンクの3GネットワークとAXGPネットワークに対応。AXGPエリア内では下り最大76Mbps、上り10Mbpsで通信できるほか、AXGPエリア外では3Gネットワークを利用して下り最大42Mbps、上り最大5.7Mbpsでの通信が可能になっている。
料金プランはARROWS S専用で、2年契約を前提とした月額基本使用料980円の「4G-Sプラン」が提供される。これはソフトバンクの「ホワイトプラン」のイー・モバイル版とも言えるもので、「EMOBILE 4G-S」ユーザーおよびソフトバンクのホワイトプランのユーザー間は1時~21時まで通話が無料に、メールは24時間無料になる。
なお、ドコモ、au、イー・モバイルの「4G-Sプラン」以外の契約から4G-Sプランへの乗り換え、または4G-Sプランへの新規契約の場合、加入の翌月から最大24カ月に渡って980円を割り引く「4G-Sスマホ割」という割引も同時に適用される。これを適用すれば最初の2年間は月額基本料が無料でARROWS Sを使うことが可能だ。
このほかパケット定額プラン「データ定額3-S」も月額4,935円で提供。こちらも音声プランと同様の割引として「データ定額得割」が用意されており、最大25カ月間は月額4,935円が月額3,880円へ1,055円割り引かれる。また、月内の通信速度制限も「データ定額3-S」では3GBまでとなっているのに対し、「データ定額得割」を適用すると上限が5GBに引き上げられる。2年契約前提の割引ではあるものの、料金や通信速度のメリットを考慮すると非常に魅力的な割引プランだ。
この2つの割引を組み合わせると、月の支払額はパケット定額プランの3,880円に、プロバイダー料である「EMベーシックパック-S」の315円を加算した4,195円と非常に安価な料金で運用できる。さらに端末を購入する場合も、24回払いの「バリュースタイル-S」に加入されると自動適用される「月額割引-S」によって毎月2,100円が割り引かれるため、端末購入費用は月に525円、24回払いの実質負担金額は12,600円とこちらも安価に購入できるようになっている。
月額料金 | |||
---|---|---|---|
通話プラン | 4G-Sプラン | 4G-Sスマホ割 | 割引適用後 |
980円 | -980円 | 0円 | |
プロバイダー料 | EMベーシックパック-S | ||
315円 | |||
パケット定額料 | データ定額-S | データ定額得割 | 割引適用後 |
4935円 | -1055円 | 3880円 | |
月額合計 | 4195円 |
端末購入費用(一括:63,000円) | ||||
---|---|---|---|---|
24回払い | 1カ月の支払額 | 月額割引-S | 割引適用後の1カ月支払額 | 総額 |
2625円 | -2100円 | 525円 | 12600円 |
他キャリアでは4Gスマートフォンの月額料金が合計6,000~7,000円程度となり、ARROWS Sの月額料金を大きく上回る計算になる。ARROWS SおよびARROWS S向けの料金プランは、イー・モバイルの特徴でもある安価な料金とハイスペックな端末が組み合わさった非常に魅力的な選択肢と言えるだろう。
スマート指紋センサーを初めとした使いやすさ重視の機能を多数搭載
ARROWS Sの魅力は端末のスペックや料金だけではない。ARROWSブランドが掲げるスマートフォンの「使いやすさ」も、スペックやカタログではなかなか見えてこないARROWSならではの魅力だ。
その1つが、ARROWSシリーズ独自の機能でもあるスマート指紋センサー。背面に搭載されたスマート指紋センサーは、指紋認証による各種セキュリティ機能だけでなく、ボタンを押すだけで画面のオンオフを切り替えるスイッチとしても利用できる。指紋認証を設定しておけば、背面のセンサーを押して画面をオンにし、そのまま指をスライドするだけで画面ロックを解除できるという、高度なセキュリティと手軽さを兼ね備えた機能だ。
その他にも、使う人の場所や嗜好に合わせて最適な動作を行なう富士通の技術「ヒューマンセントリックエンジン(HCE)」を活用したさまざまな機能を搭載。スマートフォンを手に持っている間は画面をオフにしない「持ってる間ON」、端末の揺れを感知し、歩行中は「ブラウザ」アプリの画面を自動でズームにして視認性を高める「あわせるズーム」、使用者が意図しない画面回転がされた場合、瞬時にもとに戻せる「戻ってシェイク」、画面の端から指をスライドするだけで利用頻度の高いアプリを呼び出せる「スライドインランチャー」など、いずれもユーザーの使いやすさを意識した機能が盛り込まれている。
使いやすさという点ではイー・モバイルのブランドでもある「Pocket WiFi」機能も重要なポイント。画面のウィジェットをタッチするだけで簡単にテザリングを起動でき、最大8台までの端末をテザリングで接続可能だ。
バッテリーの消費が激しいスマートフォン向けの低消費電力対策として「NX!エコ」機能も搭載。指定した時刻やバッテリー残量に応じて画面の輝度やワイヤレス機能をオフにするだけでなく、CPUの処理性能を落とすことでバッテリー消費を抑えることも可能だ。バッテリー容量も2,420mAhと大容量バッテリーを搭載し、イー・モバイルのスマートフォンとしてはトップクラスの容量だ。
スマートフォンの機能としては利用頻度の高いカメラも1,310万画素というハイスペックながら操作はシンプルで使いやすい。ホワイトバランスや露出補正といった設定はすべてカメラ任せで、カメラで切り替えられるのは静止画や動画、パノラマといった撮影モードの切り替えや画面サイズ、フラッシュのオンオフ程度。とはいえカメラのオート撮影が非常に優秀なため、細かな設定を気にせず美しい写真を保存できる。
安価な料金ながらハイスペックなスマホを利用できるオススメの1台
スペック面はクアッドコアCPUに2GBのメモリ、32GBのストレージと、現行の最新モデルと並べても遜色ない。機能面でもイー・モバイル初の防水・防塵に対応し、ワンセグや赤外線、おサイフケータイといった機能は一通り対応。その上でスマート指紋センサーを活用したセキュリティなど、ARROWSならでの魅力も兼ね備えている。
さらにARROWS Sのために用意された料金体系は、他のキャリアと比べても圧倒的に安価なコストで運用できるのが最大の魅力。毎月の通信費用は抑えたいが機能やスペックは妥協したくないというユーザーにとって、ARROWS Sは非常に魅力的な選択肢と言えるだろう。
(甲斐祐樹)