人と人をつなぐケータイ。通話はもちろん、写真を送れる写メールなど、いろいろな形で人々のコミュニケーションを拡大し、密にしてきた。各社が展開するコンテンツサービスではさまざまな情報にいつでもどこでもアクセスできるようになり、おサイフケータイなどのサービスは生活を一段と便利なものにしてくれた。ハードウェアについても高画素カメラの搭載、ワンセグ、防水対応など、次々と機能が追加され、数多くのシチュエーションでの活用を実現した。
こうしたケータイで培われたサービスや機能は、スマートフォンにも着実に受け継がれ、ケータイの利便性とスマートフォンのメリットを合わせ持つモデルが人気を集めている。なかでもシャープのAQUOS PHONEはいち早くAndroidプラットフォームに着手するだけでなく、日本仕様の搭載にも積極的に取り組むことで、日本のユーザーのためのスマートフォンとして、各方面から高い評価を受けている。
時代がケータイからスマートフォンに移行しつつあるこで、人々のデジタルツールを活かしたライフスタイルも少しずつ変化しつつある。これまでコミュニケーションとライフツールという用途が重視されていたケータイに対し、スマートフォンではコミュニケーションの軸がFacebookやTwitterをはじめとしたソーシャルサービスにシフトし、インターネットの利用もさまざまな検索による情報収集だけでなく、ムービーやゲームといったエンターテインメントにも大きく拡がっている。その背景には、各社のモバイルデータ通信サービスが高速化し、Wi-Fiなども標準的に利用されるようになる一方、スレート型のボディを採用するスマートフォンではケータイよりも大きなディスプレイが搭載できるようになり、一段とエンターテインメントが楽しみやすくなってきたことが関係している。
今回、ソフトバンクから発売されたシャープ製スマートフォン「AQUOS PHONE Xx SoftBank 206SH」は、まさにこうしたスマートフォンで利用できるエンターテインメントを思う存分に楽しみ尽くすために開発された期待のモデルだ。なかでもソフトバンクのスマートフォンでは初となるフルハイビジョンTVチューナーが搭載されたことは注目される。
ディスプレイについてもこれまでの一般的なデザインのAQUOS PHONEでは、最大クラスとなる5.0インチのフルHD液晶ディスプレイを搭載する。つまり、1920×1080ドット表示が可能な液晶ディスプレイに、フルハイビジョンのTVチューナーが組み合わせられたわけで、仕様としては家庭用テレビと変わらないスペックのものが手のひらサイズで楽しめるようになったわけだ。
この他にもF値1.9の明るいレンズを採用し、新開発の画像処理エンジン「FEEL photogragher」を組み合わせた1310万画素カメラ、余裕の2日間超えを可能にする3080mAh大容量バッテリーとエコ技、次世代音声処理LSIにより、臨場感のあるサウンドを長時間楽しめる音楽再生、快適な操作性を実現するサウンドタッチフィードバック、そしてシャープ製スマートフォンではおなじみのユーザーインターフェイスのFeel UXなど、ハードウェアからソフトウェア、ユーザビリティに至るまで、さまざまなエンターテインメントを最大限に楽しみ尽くすスマートフォンとして仕上げられている。
ついにフルセグテレビ放送の受信に対応。クレードルにセットすれば、そのたたずまいはまさに「卓上の大画面液晶テレビ」
本体内蔵アンテナで感度が足りない場合は、添付のTVアンテナ端子変換ケーブルを利用することもできる
クレードル左下のダクトは、本体のスピーカー音声を増幅。テレビを迫力の音声で楽しめる
これまでケータイから受け継がれる形でスマートフォンにも搭載されてきたワンセグ。アナログテレビなどに比べると、移動中の視聴も比較的、安定していて、地上デジタル放送と同じ内容の番組が視聴できるため、国内で販売されるスマートフォンの必須機能のひとつして定着している。東日本大震災でも災害時に広く情報を伝達する手段として再評価される一方、最近ではスポーツイベントなどでのエリアワンセグなどのサービスも少しずつ提供され始めている。
ほとんどの機種に搭載されるほどの定番機能であるワンセグだが、スマートフォンにおいては、やや力不足になってきたという指摘も多い。というのも現在のスマートフォンは1280×720ドットのHD対応ディスプレイを搭載する機種が主流だが、ワンセグはケータイ時代に基本仕様が決められたこともあり、映像は320×240ドット(320×180ドットとも表記)/15fpsで放送されており、多くのスマートフォンではかなり拡大して表示しているのが実状だ。シャープでもフレーム補間や超解像などの機能を追加することにより、大画面でワンセグを楽しめる環境を実現していたが、ワンセグという放送そのものがディスプレイのポテンシャルに見合うものではなくなっていた感が強い。また、映像を観るという視点で捉えると、インターネット経由ではHD対応のコンテンツも数多く提供されてきており、いよいよワンセグの解像度の低さが目立つ状況になりつつある。
そして、今年に入り、スマートフォンにはそれまでの1280×720ドットのHD対応に代わり、1920×1080ドットのフルHD対応ディスプレイを搭載する機種が登場し始めており、その高解像度に見合う映像ソースを期待する声が高まっていた。
今回発売された206SHでは、5.0インチのフルHD液晶ディスプレイを採用するが、これを活かすための映像ソースとして、フルハイビジョンTVのチューナーを搭載しており、家庭用テレビで視聴している地上デジタル放送とほぼ同じ仕様の放送サービスを楽しめるようにしている。外出時に手のひらの上で、高解像度のテレビ放送が楽しめるだけでなく、同梱の卓上ホルダーにセットし、机の上に置いておけば、フルHDの卓上テレビのように使うことも可能だ。
地上デジタル放送の視聴については、本体内蔵の伸縮式のアンテナで利用できるほか、付属のTVアンテナ入力用microUSB変換ケーブルと宅内のTVアンテナ端子を接続しての利用もできる。実際に視聴した印象では、鉄筋内のビルでは不安定になるものの、屋外や木造家屋などでは伸縮式アンテナでも十分に安定した視聴ができた。ちなみに、カーナビなどのテレビチューナーと同じように、放送用電波の弱いときは自動、もしくは手動でワンセグに切り替えることができる。また、フルハイビジョンTVの番組を録画することができ、Gガイド番組表から簡単に予約を設定することもできる。連続視聴時間も約4.5時間と長く、安心して、テレビを楽しむことができる。
ディスプレイについては前モデルのAQUOS PHONE Xx SoftBank 203SHに採用されたIGZO搭載液晶ではなく、5.0インチという対角サイズと1920×1080ドットという高解像度を実現するため、S-CG Silicon液晶パネルが採用されている。S-CG Silicon液晶パネルは液晶透過率の改善やバックライトコントロールなどによる省電力化に加え、液晶にメモリを搭載することで、画像伝送のコントロールにおいても消費電力を抑えることができるため、高い省エネ性能を実現する。また、5.0インチで1920×1080ドットの表示が可能になるため、従来モデルの約1.4倍に相当する441ppiを実現しており、一般的な印刷物や写真を上回るほどの高密度で美しい映像を再現することができる。液晶パネルの画質設定も周囲の明るさや時間帯など、人の生活環境に合わせて、自動的に画質を調整する「ユースフィットモード」をはじめ、ディスプレイのちらつきを抑え、眼に負担の少ない表示を実現した「リラックス画質モード」、色空間の国際標準規格であるsRGBに合わせ、オンラインショッピングなどでも実物に近い色を再現できる「ナチュラル画質モード」をサポートしており、さまざまなシチュエーションに適した映像を表示することが可能だ。
5インチのフルHD液晶に、フルハイビジョンTVという組み合わせが魅力の206SHだが、その他にも注目されるポイントがある。
たとえば、カメラ機能もそのひとつだ。これまでスマートフォンのカメラと言えば、ケータイ時代からの流れを継承し、センサーの画素数に注目が集まる傾向が強かったが、今回の206SHでは裏面照射型1310万画素CMOSイメージセンサーと新開発の画像処理エンジン「FEEL photographer」の組み合わせに加え、開放F値1.9という明るいレンズを採用することにより、より美しく自然な写真を撮れるようにしている。
F値はレンズの焦点距離を有効口径で割った値で、レンズの明るさを示すものとして、カメラなどで広く使われている。今回の206SHに搭載されたF値1.9というレンズは、従来のAQUOS PHONE Xx SoftBank 106SHと比較して、明るさが約1.6倍になり、速いシャッターで手ブレを抑えたり、感度を上げてもノイズの少ない写真を撮ることができる。撮影モードも標準的なものに加え、魚眼カメラやミニチュアライズカメラ、パノラマカメラなど、多彩なモードが選ぶことが可能だ。
F値1.9の明るいレンズを活かした撮影でおすすめしたいのが接写や近接撮影で、うまく被写体にピントを合わせると、背景をぼかすことができ、被写体が際立った写真を撮ることができる。スマートフォンでは撮影した写真をSNSなどに投稿することが多いが、206SHの接写と近接撮影をうまく使えば、スマートフォンで撮ったようには見えない雰囲気のある写真を投稿することが可能だ。ちなみに、写真を撮影した直後のプレビュー画面から共有メニューが利用できるほか、画像編集もすぐに起動でき、ケータイ宛てにメールで送るときのリサイズなども簡単にできる。
また、インカメラについても裏面照射型CMOSセンサーによる207万画素カメラが搭載された。インカメラは自分撮りなどに便利だが、身だしなみをチェックできる手鏡モードもフルHDで確認することが可能だ。
撮影時の機能については、露出の異なる写真を同時に撮影し、それぞれを合成する「HDR撮影」、最大16倍まで拡大しながら、デジタルズーム特有の粗さを軽減した「美ズーム」、音声でシャッターを切ることができる「VoiceShot」などが搭載されている。
従来モデル同様、よく撮るモードを最大3つまで登録しておき、それぞれの被写体やシチュエーションに合わせた撮影モードでカメラをすぐに起動できる「カメラWidget」、ロック画面から約0.4秒で起動できる「ON速起動」などの便利機能もサポートされている。これらの機能はカメラ起動時にファインダーに表示されるアイコンなどから設定できるが、今回から全体的にユーザーインターフェイスがシンプルになり、非常にわかりやすくなっている。
撮影した写真はアルバムアプリなどで確認できるが、人物やイベント、地図、すべての4つの表示方法で管理することができる。旅行やパーティなどのイベントで撮影した写真も自動的に分類されるため、日時や場所に連動した管理ができるのが便利だ。
よく使う撮影モードをホーム画面に登録しておける
シンプルなUIとなったカメラアプリ。設定変更も手軽におこなえる
スマートフォンで楽しめる数々のエンターテインメントの内、もっとも多くのユーザーが期待しているのが音楽再生だろう。ただ、これまでのスマートフォンでは音楽再生を使いたくても長い時間、音楽を聴いていると、電池残量が減ってしまうため、楽しめることはわかっているものの、なかなか手を出せずにいたユーザーも多いはずだ。
そこで、206SHでは、高級オーディオ機器などにも採用されるWolfson社の音声処理LSIを搭載し、解像度の高い音楽再生を実現する一方、楽曲データを効率良く処理するシャープならではの技術により、音楽再生時の消費電力を大幅に低減している。前述のように、本体内蔵のバッテリー容量が3080mAhと大きいこととの相乗効果もあり、音楽の連続再生時間は約70時間を達成している。ちなみに、206SHは最大64GBのmicroSDXCメモリーカードに対応しており、本体メモリの32GBと合わせ、より多くのデータを保存しておくことが可能だ。
また、楽曲を再生するプレーヤーについては、Android標準のものではなく、オリジナルデザインの「ミュージックプレーヤー」をプリインストールしており、ステレオイヤホンを3.5φのステレオイヤホン端子に接続すれば、自動的に起動できるようにしている。再生中の楽曲の情報が表示できることはもちろん、インターネットで検索したアーティスト情報やYouTubeなどの映像コンテンツの検索、Twitterでのシェアなど、多彩な活用を可能にしている。
ステレオイヤホン接続時については、本体に搭載されているDolby mobile v3が有効になるため、バーチャル5.1chサラウンドにより、臨場感あふれるサウンドを楽しむことができる。Bluetoothは4.0対応だが、aptXコーデックにも対応しているため、高品位な音楽を再生することが可能だ。
楽曲の取り込みについては、MTPモードで接続し、Windows Media Playerと連携させることも可能だが、付属の音楽管理ソフトの「MediaJet」を利用すれば、iTunesで管理していた楽曲などもすぐに利用することができる。パソコンとの接続はmicroUSBケーブルだけでなく、Wi-Fiにも対応しており、卓上ホルダーにセットして、充電を開始したときにパソコンと同期させることも可能だ。
オリジナルの多機能ミュージックプレーヤーをプリインストール
定番のDolby mobile v3なら自然で高品質なイコライジングが可能
さらに使う人の感性に訴えかけるUIとなった「Feel UX(3ラインホーム)」
Androidプラットフォームを採用したスマートフォンでは、どんなホームアプリを採用するのかによって、大きく使い勝手が変わってくる。Androidスマートフォンが登場したばかりの頃は、Android標準のホームアプリか、それをわずかにカスタマイズした程度のものが多かったが、ここに来て、各社ともケータイから移行するエントリーユーザーに対応するため、独自のホームアプリを開発している。
シャープは元々、「SHホーム」と呼ばれるオリジナルのホームアプリを採用していたが、2012年夏からは人の感性に近づけ、直感的な操作ができる「Feel UX」(3ラインホーム)を採用し、AQUOS PHONEに搭載してきた。今回の206SHには、その最新版が採用されており、従来にも増して、使いやすく、楽しく進化を遂げている。
たとえば、Feel UXではアプリ、ウィジェット、ショートカットという3つの縦方向のラインが並んでおり、左右にフリックすることで表示を切り替えることができるが、この切り替え操作にアニメーションと効果音が加わった。Feel UXのテーマも設定できるようになり、5種類のポップカラーと3種類のナチュラルカラーから選んで設定することができる。壁紙もウェルカムシート(ロック画面)と3ラインホーム(ホーム画面)の両方で個別に設定できるようにしている。そして、今回は新たにFeel UXをもう一段、やさしく使ってもらうために、アプリケーションシートのみで構成するシンプルモードも用意されている。
さらにカスタマイズの幅が拡がったFeel UX
また、複数のアプリが利用できる「アナザービュー」も進化しており、フルセグやワンセグを視聴中に、Twitterでつぶやくといった使い方も可能にしている。さらに、履歴キーの短押しで表示される「クイックツールボックスEX」、卓上ホルダーにセットしているときに必要な情報を横向きの画面に表示できる「パーソナルコレクトボード」、表示中の画面に手書きでメモを書き加えて保存できる「「書」メモ」、ちょっとしたメモを手軽に取れる「「書」ノート」など、大画面と視認性をバランスさせた5.0インチのフルHD対応液晶ディスプレイのポテンシャルを最大限に引き出せる機能もサポートされており、初心者の幅広いニーズはもちろん、買い換えのユーザーのニーズもしっかりと満たすことができる仕上りとなっている。
この数年で、急速に移行が進んだスマートフォン。当初はスマートフォンの基本機能がいかに充実しているかが注目されてきたが、最近では各社とも完成度の高いモデルを開発できるようになり、ラインアップも非常に充実してきた印象だ。
今回発表された206SHは、スマートフォンの基本機能をしっかりと磨きながら、多くのユーザーがスマートフォンに期待するエンターテインメント機能を充実させることにより、はじめてのユーザーから買い換えのユーザーまで、幅広いユーザーのニーズに応えられるモデルとして、仕上げられている。テレビやネット、映像、音楽、写真など、スマートフォンの多彩なエンターテインメントを楽しみ尽くしたい欲張りなユーザーにぜひ楽しく活用して欲しいモデルだ。
カラーバリエーションはラスターホワイト、ブルー、ブラックの3色
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法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 8」をはじめ、「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2013年5月24日発売)、「できるWindows 8 タッチPC&タブレット編」など、数多く執筆。Impress Watch
Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら。
■関連情報
□AQUOS PHONE Xx SoftBank 206SH 製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/sb206sh/
□シャープ 携帯電話 SoftBankラインアップ
http://k-tai.sharp.co.jp/lineup/softbank/
■関連記事
□5インチ・フルHD画面で地デジ対応の「AQUOS PHONE Xx 206SH」
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20130507_597773.html