新しいデザインでイメージを一新
人に寄り添うパートナーを目指した
新世代スマートフォンAQUOS
~2016年夏モデル~
国内市場において、他社に先駆けてAndroidプラットフォームに取り組み、さまざまな機能を搭載し、進化を遂げてきたシャープ製スマートフォン『AQUOS』。これまでNTTドコモ、au、ソフトバンク向けにそれぞれ個性的なモデルを供給し、ユーザーから広く人気を得してきたが、この夏、新たなデザインで生まれ変わった新世代のスマートフォンAQUOSが登場した。NTTドコモ向けの「AQUOS ZETA SH-04H」、au向けの「AQUOS SERIE SHV34」、ソフトバンク向けの「AQUOS Xx3」は、いずれも基本的なデザインを共通にしながら、それぞれに各携帯電話事業者のネットワークやサービスに最適化したモデルとして開発されている。ひと足早く実機を試すことができたので、その内容を見ながら、仕上がりをチェックしてみよう。
変わりつつあるスマートフォンに求められること
現在、国内市場において、半数を超えるところまで普及したと言われるスマートフォン。製品そのものの仕様も完成の域に近づいてきたと言われ、スマートフォンを利用したサービスも充実し、広く普及している。
2010年におサイフケータイやワンセグなどの『日本仕様』を搭載したシャープ製スマートフォン「IS03」がauからリリースされて以来、国内市場向けのスマートフォンはさまざまな試行錯誤をくり返しながら進化を遂げてきた。当初はAndroidプラットフォームが発展途上中だったこともあり、ユーザーからは安定した動作や基本的な操作性の改善を望む声が多く聞かれたが、徐々にプラットフォームの完成度を高められてきたことで、ユーザーのニーズは次のステージへ移行していった。
たとえば、ディスプレイの大型化や高解像度化、プロセッサの高速化と処理速度向上、カメラの高性能化といったハードウェア面のスペック向上に期待する声が多く聞かれた一方、連続稼働時間のロングライフ化やユーザービリティの改善など、さまざまな実用面での不満解消も大きなテーマとして、ユーザーに注目されてきた。最近ではこうしたスペック向上や不満解消に対する答えがある程度導き出され、スマートフォンが完成の域に近づいてきたことで、ユーザーがスマートフォンに求めること、期待することが再び少しずつ変化しつつあるようだ。
こうした状況を踏まえ、シャープではスマートフォンAQUOSの新しい方向性として、コミュニケーションを中心に、人に寄り添うパートナーとしてのスマートフォンへ進化させる方針を打ち出してきた。シャープはこれまでお家芸である液晶ディスプレイを活かした製品を開発する一方、Feel UXやエコ技などによる優れたユーザービリティ、エモパーをはじめとする新しいユーザー体験など、他社製品にはない特徴を打ち出してきたが、これらをベースに新世代のスマートフォンAQUOSへと進化させようというわけだ。
また、今回のスマートフォンAQUOSでもうひとつ注目すべきは、各携帯電話事業者向けのフラッグシップモデルの基本デザインを共通化したことだろう。これまでシャープはNTTドコモ向けに「AQUOS ZETA」、au向けに「AQUOS SERIE」、ソフトバンク向けに「AQUOS Xx」及び「AQUOS CRYSTAL」と、それぞれ特徴的なモデルを展開してきた。グローバル市場を中心に展開するメーカーが各携帯電話事業者向けにまったく同じモデルを降級していた状況と対照的だったが、今回は細かい部分に差異があるものの、基本デザインを統一したスマートフォンAQUOSが各社のラインアップに展開されることになった。とは言え、各携帯電話事業者のネットワークやサービスに最適化されているところは従来のスマートフォンAQUOSをしっかりと継承しており、ボディカラーも一部を共通にしながら、各携帯電話事業者向けに独自のカラーバリエーションも追加することで、それぞれに個性を発揮させようとしている。
やさしさを感じる自然なフォルム
新世代のスマートフォンAQUOSとして登場したNTTドコモ向けの「AQUOS ZETA SH-04H」、au向けの「AQUOS SERIE SHV34」、ソフトバンク向けの「AQUOS Xx3」だが、これまでのスマートフォンAQUOSと比べ、どのように変化したのだろうか。まずは外観からチェックしてみよう。
これまでスマートフォンAQUOSと言えば、ディスプレイの左右と上の額縁を狭くした「三辺狭額縁」、ディスプレイを取り囲むフレームを極限まで狭めた「フレームレスデザイン」など、他機種にはない個性の強いデザインを採用してきた。これに対し、今回は「Comfort&Quality」をキーワードに掲げ、自然で美しいフォルムを実現している。ボディ周囲にアルミ素材による金属フレームを採用し、背面に傷が付きにくいハードコート処理を施したパネルを備え、落ち着きのある美しいデザインに仕上げている。ボディの角の部分は切削加工ではなく、独自の加工処理により、手のあたりにやさしさが感じられる柔らかい曲線で構成されている。
ボディカラーはNTTドコモ向けのAQUOS ZETA SH-04HがWhite、Green、Black、au向けのAQUOS SERIE SHV34がネイビー、ホワイト、コーラルピンク、ソフトバンク向けのAQUOS Xx3がホワイト、アクアブルー、アンバーブラックのいずれも3色ずつのカラーバリエーションを展開する。ちなみに、ボディカラーはいずれも本体前面のディスプレイ側にもカラーが回り込むデザインとなっており、カラーごとの個性がしっかりと活きている印象だ。
- White
- Green
- Black
AQUOS ZETA SH-04H
- ホワイト
- コーラルピンク
AQUOS SERIE SHV34
- ホワイト
- アクアブルー
- アンバーブラック
AQUOS Xx3
ディスプレイのガラス面はCorning®社製の特殊化学強化ガラスである「Gorilla® Glass 4」を採用し、表面張力のように盛り上がった2.5Dガラスにすることで、フレームと一体感を持たせつつ、ここも手や指先で触れたときのやさしさを演出している。
AQUOS ZETA SH-04HとAQUOS Xx3は本体右側面に指紋センサーを搭載し、ワンタッチでのロック解除を実現。一方、AQUOS SERIE SHV34はインカメラで目をスキャンしロック解除する「見るだけ解除」機能を搭載しており、いずれもセキュリティと手軽さを両立している。
その他、本体右側面には音量キー、電源キー、底面にはキャップレス防水対応のmicroUSB外部接続端子とストラップホール、上面には3.5φのステレオイヤホン端子を備える。左側面にはキャップが備えられ、内部にはmicroSDメモリーカードスロットとnanoUIMカードスロットが備えられている。
本体左右側面の下寄りの部分には金属フレームにスリットがあり、そこに「ヒカリエモーション」のイルミネーションが備えられている。イルミネーションは従来のAQUOS ZETA SH-01Hなどにも搭載されていたが、スリット部分に埋め込まれたことで、必要以上に目立つ印象もなく、うまくボディデザインに融合させている。ヒカリエモーションは電話やメールの着信時や不在着信があるときに光り、ユーザーに情報を通知できるが、ロック解除時や終話時に光らせたり、充電時には柔らかい光で寝息を立てるような演出をするなど、細かい工夫が盛り込まれている。ちなみに、就寝時にはまぶしくないよう、明るさを抑える時間を設定したり、エモパーに連動させるなどの設定も可能だ。
なめらかで「超キモチいい」を実現するディスプレイ
これまで各携帯電話事業者向けに供給されていたスマートフォンAQUOSは、それぞれにデザインなどに違い、ディスプレイサイズも違っていたが、今回発売されるAQUOS ZETA SH-04H、AQUOS SERIE SHV34、AQUOS Xx3の3機種は、いずれも1080×1920ドット表示が可能な約5.3インチのIGZO液晶ディスプレイを搭載する。
IGZO液晶ディスプレイについては改めて説明するまでもないが、液晶アイドリングストップなどの技術により、高い省電力性能を持つ。今回の3機種には昨年11月に発売されたAQUOS ZETA SH-01Hなどに引き続き、なめらかな表示を可能にする「ハイスピードIGZO」が採用されている。一般的にスマートフォンに搭載される液晶パネルは、毎秒60回(60Hz駆動)の書き換えを行なっているが、これを毎秒120回(120Hz駆動)、書き換えられるようにすることで、よりなめらかな表示を可能にしている。かつて、家庭用の液晶テレビの普及が始まったばかりの頃、液晶テレビはブラウン管のテレビに比べ、残像感があると指摘されたが、毎秒の書き換え回数を2倍にした「倍速液晶」を搭載する液晶テレビが登場し、その後の主流になっていった。今回の3機種のスマートフォンAQUOSに搭載されるハイスピードIGZOは、まさにこれと同じ手法でなめらかな表示を可能にしているわけだ。
ただ、液晶パネルの毎秒の書き換え回数が増えると、当然のことながら、消費電力が増え、バッテリーの駆動時間が短くなってしまう。ところが、今回のスマートフォンAQUOSに搭載されているIGZO液晶ディスプレイには液晶アイドリングストップ技術を持っているため、Webページなどのスクロールは120Hzでなめらかに表示しながら、画面の動きが停止したときは毎秒1回(1Hz)の書き換えにすることで、消費電力を抑えることに成功している。しかもハイスピードIGZOのなめらかな表示は、一般的な60Hz駆動の液晶パネルに比べ、目が疲れにくいという実験結果も得られており、単純にバッテリーだけでなく、目にもやさしいディスプレイとなっている。
実際に端末を操作をしてみると、表示がなめらかであることに加え、タッチパネルのレスポンスも優れているため、ディスプレイに触れる指先に、画面内のオブジェクトが吸い付いてくるような操作感で使うことができる。表示のなめらかさとレスポインスの良さは、まさにクセになる快適さと言えるだろう。
このハイスピードIGZOを活かすための機能として、今回のスマートフォンAQUOSには「スクロールオート」と呼ばれる機能が搭載される。WebページやSNSなど、縦方向に長いコンテンツをチェックするとき、何度も画面をタッチして、スクロール操作をするのではなく、表示されたボタンの上で指を離すと、自動的にコンテンツをゆっくりとスクロールさせることができる。もちろん、ハイスピードIGZOのなめらか表示が効果を発揮するため、ストレスなく、コンテンツを閲覧することができるわけだ。
スマートフォンのディスプレイを長時間見ることは、人間の眼に負担が大きいとされているが、 スマートフォンAQUOSに搭載された「リラックスオート」という新機能は、自動的にディスプレイが発するブルーライトをカットした眼にやさしい画質に切り替え、体内時計の働きを助けながら、ユーザーの快眠をサポートすることができる。また、エモパーを設定していると、エモパーが学習した就寝時刻の前に自動的に眼にやさしい画質に切り替えてくれる。
この他にも周囲からののぞき見を防止できる「のぞき見ブロック(ベールビュー)」や画面の上の縁をなぞるだけで簡単にスクリーンショットを撮ることができる「Clip Now」など、ディスプレイ関連の便利機能も従来モデルから継承されており、はじめてのユーザーも乗り換えユーザーも安心して使うことができる。
なめらかな表示と高い省電力性能を両立させたIGZO液晶ディスプレイだが、本体には3000mAhの大容量バッテリーが搭載されている。これまでスマートフォンAQUOSでは「エコ技」と呼ばれる独自の省電力機能が搭載されてきたが、今回はエコ技で培った省電力技術が標準で組み込まれていることに加え、新たに「長エネスイッチ」と呼ばれる機能も搭載される。長エネスイッチは動作や機能を一部制限することにより、バッテリーの残量が20%になった状態からでも1日、使うことを可能にする。たとえば、朝、出かけようとしたとき、充電を忘れていて、残量が少ないときでも長エネスイッチをONに切り替えれば、その日の利用を何とか乗り切ることができるわけだ。ちなみに、充電については急速充電に対応しており、各社の急速充電対応ACアダプターを利用すれば、まったく空の状態からでも約140分程度で、満充電が可能だ。
AQUOS史上最高画質を実現する約2260万画素カメラ
スマートフォンに搭載されるカメラは、デジタルカメラと同じように、イメージセンサーとレンズ、画像処理エンジンによって、その画質が左右される。しかし、常に持ち歩いているスマートフォンだからこそ、シャッターチャンスが多く、デジタルカメラ以上に利用頻度が高いと言われている。それ故、スマートフォンのカメラはデジタルカメラ以上にユーザーの求める要件が厳しいという見方もできる。
今回のスマートフォンAQUOSにはシリーズ最高スペックとなる約2260万画素CMOSイメージセンサーとF値1.9の明るいレンズを組み合わせたカメラが搭載される。これまでのスマートフォンAQUOSに搭載されてきたカメラも暗いところでの撮影に強く、人間の眼で見るよりも明るく撮影できると評価していたが、今回のスマートフォンAQUOSもリコーの高画質デジタルカメラ「GR」シリーズの開発陣による画質認証プログラム「GR certified」を取得しており、これまで以上の高品位画質での撮影を可能にしている。特に、写真の周囲の歪みの少なさや暗いところでの撮影については、これまでのスマートフォンAQUOSのカメラをさらに進化させた印象で、ライバル製品に対し、一日の長があるという印象だ。
新設計のカメラには、高画質ズームと光学手ブレ補正も搭載される。一般的に、スマートフォンのカメラで利用するズームはデジタルズームであるため、画質が粗くなってしまうが、スマートフォンAQUOSのカメラでは約3〜8倍のデジタルズーム時に超解像技術を応用することで、画像のボケを抑え、くっきりとした写真を撮影できるようにしている。従来モデルでも搭載されていた光学手ブレ補正は、レンズの可動範囲を拡大し、補正効果を向上させた新開発の光学手ブレ補正を搭載する。
また、撮りたいときにシャッターチャンスを逃さず、すぐに撮影できるようにカメラアプリが従来モデルの2倍、高速となる約0.4秒での起動が可能になり、動く被写体の撮影にも強いハイスピードAFは、約0.02秒※でピントが合わせることができる。
※記載のスピードは特定条件下での最速値
撮影時の機能については、従来モデルからさまざまなシーンを美しく撮影することができたが、今回のスマートフォンAQUOSはさらに撮影機能が強化されている。たとえば、ちょっとこだわった撮影を楽しんでみたい初心者は、まず「おすすめプラス」を試してみて欲しい。シーン選択メニューから「ふんわり」「くっきり」「逆光でも」「近付いて」などの項目を選ぶと、それぞれの項目に選んだ効果が設定され、画面内のスライダーを動かすことで、効果を自由に変更することができる。これからのシーズンに撮影することが多い花火の撮影モードも用意されており、AUTOボタンをタップし、花火に向けると、花火が開いた瞬間を自動的に撮影することが可能だ。女性ユーザーを中心にニーズの高い美肌補正が新搭載。美肌補正はインカメラで自分撮りをするとき、人の顔を認識して、自動的に肌をなめらかにしたり、鼻筋に自然なシャドウを加えたりして、ハッキリとした顔立ちに仕上げるという。ちなみに、インカメラは約500万画素のイメージセンサーを採用し、画角約85度の広角撮影を可能にする。
また、動画撮影機能も着実にブラッシュアップされている。動画撮影コーデックとしては、新たにH.265にも対応。現在主流のH.264に比べ、同じファイルサイズならより高画質に(高画質モード)、画質が同等ならファイルサイズは2分の1(軽量モード)となる。もちろん、4K動画の撮影も可能だ。
また、従来から搭載のハイスピード録画も進化。240FPSでの撮影では、撮影可能な画面サイズが拡大。従来はFWVGA(854×480)サイズだったが、今回からHD(1280×720)で撮影可能になった(120FPSならFHD(1920×1080))。録画した映像はフレーム補間技術を用いたスーパースロー映像として楽しむこともできる。
タイムラプス撮影(微速度撮影)機能は、予約機能を新たに実装。任意のタイミングから自動で撮影を開始できるようになった。また、今回から120FPSでの再生に対応し、よりなめらかな動きで鑑賞できる。
人に寄り添うやさしさや楽しさ、
多彩な機能を備えた新世代AQUOSは「買い」!
市場の半数を超えるところまで普及し、さまざまなサービスが利用できる環境が整ってきたスマートフォン。これまではユーザーが持つさまざまな不安を解消することを中心に進化を遂げ、スペックばかりが注目される傾向にあったが、これからはユーザーがいかに快適にスマートフォンを利用できるかが重要なポイントになってくるはずだ。
今回発売されたスマートフォンAQUOSはこれまでのモデルで培ってきたノウハウや機能を継承しながら、こうした新しい時代のスマートフォンのニーズに対応するべく、「人に寄り添う」ことをテーマに進化を遂げている。一度体験するとやみつきになる機能として人気の高い「エモパー」も、今、話題のロボホンと技術進化を共有しながら、ダイエットを楽しく続けられる「エモパーヘルスケア」を加えた「エモパー4.0」へバージョンアップ、さらにユーザーを楽しませる存在に進化している。ハードウェアとしての魅力はもちろん、ユーザーがスマートフォンを快適に使い、便利に活用し、毎日を楽しむことができるモデルとして、仕上げられているという印象だ。各携帯電話事業者のショップや販売店で実機を手に取り、スマートフォンAQUOSの多彩な機能と楽しさをぜひ一度、体験していただきたい。
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執筆: 法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるゼロからはじめる Windows タブレット超入門 ウィンドウズ 10 対応」、「できるゼロからはじめるパソコン超入門 ウィンドウズ 10 対応」、「できるゼロからはじめるタブレット超入門 Android 4対応」、「できる Windows 10」など、数多く執筆。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら。