新しい時代を迎えるAndroidプラットフォーム

 2008年10月に米国で初の商用端末が登場して以来、わずか3年ほどの間に急速に普及したAndroidプラットフォーム。今年1月には全世界で登録されたAndroidデバイスは2億5000万台を突破し、現在も1日に70万台がアクティベートされているという。名実ともに、世界でもっとも広く利用されているスマートフォンのプラットフォームになりつつある。

 Androidプラットフォームがわずか3年という短い期間でこれだけ普及し、ビジネス的にも成功を収めた背景には、単にオープンなプラットフォームであったというだけでなく、Googleや携帯電話事業者各社、端末メーカーなどを中心に着実に改良を加え、プラットフォームそのものを進化させてきたことが挙げられる。

 たとえば、国内では2009年の「Android 1.5(Cupcake)」や「Android 1.6(Donut)」の頃にAndroidスマートフォンが登場し始めたが、2010年には機能を大幅に強化した「Android 2.1(Eclair)」を搭載したスマートフォンが発表された。Android 2.1はそれまでよりも多くの画面モード(解像度)をサポートするなど、ハードウェアの対応も強化されたが、国内向けにはワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信に対応したモデルが登場した。なかでも早い時期からAndroidプラットフォーム採用モデルの開発に着手していたシャープは、『三種の神器』と言われる日本仕様をサポートしたモデルをいち早く各社のラインアップに加え、国内市場でのスマートフォン移行を強力に後押しした。同じく2010年冬には各社がAndroid 2.1採用モデルをラインアップする中、ソフトバンクが2010年冬 - 2011年春モデルから一斉に「Android 2.2(Froyo)」を採用することを発表し、シャープはその先陣を切る形で「GALAPAGOS SoftBank 003SH」を2010年12月に発売した。

2010年12月に発売。Android 2.2を搭載した「GALAPAGOS SoftBank 003SH」 2011年6月に発売。Android 2.3を搭載した「AQUOS PHONE SoftBank 006SH」

 2011年に入ると、読者のみなさんもよくご存知の通り、スマートフォン向けに「Android 2.3(Gingerbread)」がリリースされる一方、新たにタブレット端末向けの「Android 3.0/3.1/3.2(HoneyComb)」がリリースされた。Android 2.3はそれまでのAndroid 2.x系の完成形と言われ、メモリ管理やバッテリー管理の改良、複数のカメラ対応、NFC対応など、さまざまな面で強化が図られたこともあり、Androidプラットフォームを採用したスマートフォンとしては、国内でもっとも普及している。これに対し、Android 3.xはより大画面のタブレット端末に搭載するため、ユーザーインターフェイスを一新し、これまでのスマートフォンとは少し違った独特の使い勝手を模索した。国内市場のタブレット端末は今ひとつ利用シーンが認知されていないため、普及がやや足踏み状態にあるが、米国などではタブレット端末が『ポストPC』のポジションを占め、幅広いユーザー層に普及し始めている。

 そして昨年10月、Androidプラットフォームの最新版となる「Android 4.0(Ice Cream Sandwich)」が発表された。Android 4.0ではこれまでスマートフォン向けに提供してきたAndroid 2.x系、タブレット向けに提供してきたAndroid 3.xを融合し、より幅広いデバイスをサポートすることを目指して、開発されている。

 内容としては、スマートフォン向けとタブレット端末向けのユーザーインターフェイスの統合、充実した情報量と操作性が改善された通知機能、ロック画面からの機能起動、GPUによるグラフィック描画、サイズ変更が可能なウィジェット、Wi-Fi Direct、顔認証によるロック機能、アプリケーション画面でのアプリとウィジェットの統合管理、データ通信量管理など、ユーザビリティの改良からハードウェアのサポートまで非常に多岐に渡っている。これまでのAndroidはスマートフォン向けを基本としていたが、Android 4.0はタブレット端末の統合に加え、より幅広いデバイスに搭載できるように開発されており、Googleとしても新しい時代へ向けたAndroidプラットフォームとして位置付けている。

いち早くAndroid 4.0を搭載したAQUOS PHONE SoftBank 104SH

AQUOS PHONE SoftBank 104SH

 新しい時代へ向けたプラットフォームとして登場したAndroid 4.0は、幅広いデバイスをサポートするポテンシャルを秘めている。とは言うものの、やはり主力となるのは私たちが普段から手にするスマートフォンということになる。

 Android 4.0を採用したスマートフォンは、今のところリードデバイス(リファレンスモデル)として開発されたモデルが国内外で販売されているものの、それ以外のモデルについてはようやくプレス発表が行なわれたレベルで、世界的に見ても市場に出荷されているモデルは非常に少ない。

 そんな中、いち早く国内市場向けに発売されることになったのが「AQUOS PHONE SoftBank 104SH」というわけだ。104SHについては、昨年9月に開催された「2011冬 - 2012春ソフトバンク新商品発表会」において、「次期プラットフォーム搭載モデル」として発表され、その後Android 4.0が搭載されることが明らかになっていたモデルだ。開発は順調に進み、いよいよ発売を目前に控え、予約の受付も開始されている。

 製品のスペックについては、発表会当時あまり詳細に語られなかったが、2012年の主力プラットフォームであるAndroid 4.0を存分に使うための十分なハードウェアや機能が搭載されている。

 まず、CPUはTexasInstruments製デュアルコアプロセッサ「OMAP4460」の1.5GHzを搭載する。改めて説明するまでもないが、パソコンのCPUのマルチコア化と同じように、複数のコアが搭載されているため、比較的処理が重たいとされる動画再生をはじめ、情報量の多いWebページの閲覧なども快適に使うことが可能になる。複数のアプリを同時に実行するようなシチュエーションにも効果を発揮する。

ディスプレイは720×1280ドットの4.5インチ液晶を搭載

 ディスプレイは720×1280ドットのHD表示が可能な4.5インチのNewモバイルASV液晶を搭載する。シャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われた画像処理技術が活かされ液晶パネルは1677万色表示に対応し、液晶パネル面と前面保護パネル面を密着させ空気層をなくすことで、太陽光の下での乱反射や光量ロスを防ぐリフレクトバリアパネルを採用する。タッチパネルの操作性もシャープ独自のダイレクトトラッキング技術によりチューニングを施し、指先で触れたときの画面の追従性や動きのなめらかさを高次元でバランスさせている。すでに発売されているAQUOS PHONE SoftBank 102SHでも触れたことだが、スマートフォンの場合、画面に触れて操作をするため、ディスプレイサイズは操作の快適性に直接影響を与える。その意味においても4.5インチのHD表示はかなり強力と言えるだろう。

 カメラについては、裏面照射型CMOSセンサーによる1210万画素カメラを搭載する。裏面照射型は表面照射型に比べ、高感度と低ノイズを実現しており、明るい写真や映像の撮影を可能にする。

 通信環境についてはHSDPA方式による受信時最大14.4Mbpsの3Gハイスピードに加え、ソフトバンクが昨年来、1.5GHz帯で提供中のULTRA SPEEDにも対応し、受信時最大21Mbpsに対応する。Wi-FiについてもIEEE802.11b/g/nに対応しており、自宅やオフィス、公衆無線LANサービスなどでも高速通信を利用することができる。

 また、Android 4.0という新しいプラットフォームでありながら、AQUOS PHONEではおなじみの「スマートファミリンク」に対応しており、DLNA(DTCP-IP)対応により、レコーダーで録画した番組を自宅のWi-Fiを経由し、104SHで視聴することが可能だ。

「エコ技」機能は104SHにも継承されている

 ところで、2011年冬から2012年春に掛けて、各社から登場するシャープ製スマートフォンには、「エコ技」と呼ばれる独自の省電力機能が搭載されているが、この機能も104SHに継承されており、デュアルコアというハイスペックな環境ながらロングライフを可能にしている。具体的には、カタログスペックで約420時間という連続待受時間を実現しているが、実使用時間(※)で比較すると、通常モードで約121時間のところ、エコ技の技ありモードでは約1.9倍に相当する約225時間の利用を可能にしている。
※Twitter、mixiSHのアプリケーション、および電話帳におけるTwitter、mixiのログイン、歩数計「ON」、GPS機能「ON」、ニュースウィジェットを貼り付けた状態。

 さらに、本体メモリーは16GBを搭載し、microSDメモリーカードについては2GBの試供品がパッケージに同梱されるため、写真や動画、音楽、アプリなど、さまざまなコンテンツを104SHに保存しておくことが可能だ。

 そして、何とっても注目されるのがAndroid 4.0のユーザーインターフェイスだ。前述のように、Android 4.0のリードデバイスが国内市場向けに投入されているが、AQUOS PHONE SoftBank 104SHは日本のユーザーがAndroid 4.0になじめるように、SHARPオリジナルのグラフィックデザインを採用し、ホーム画面やアプリケーション画面、設定画面なども視覚的にわかりやすくまとめている。

 この他にもホーム画面やランチャー画面をはじめ、電話機能のユーザーインターフェイス、アクションバーの操作など、随所にユーザーがAndroid 4.0になじみやすい環境を整えている。

104SHのホーム画面 カメラ、電話、メールを直接起動できるロック画面 さまざまな情報を確認できるステータス画面 ランチャー画面

新時代を狙うAQUOS PHONE SoftBank 104SHは要チェック!!

 Androidスマートフォンを購入するうえで、ハードウェアのスペックや機能、対応サービスなど、チェックしたい要素はいろいろあるだろうが、これから購入するユーザーにとっては、少しでも長く使うために、より新しいバージョンのプラットフォームを採用していることが望ましいと考えているはずだ。従来であれば、新しいバージョンのプラットフォームは、安定動作やアプリの対応などの点において、多少なりとも躊躇する印象があったが、今回の104SHは最新のAndroid 4.0を搭載するだけでなく、ユーザーインターフェイスも含め、日本のユーザーが利用することを前提にしっかりと作り込まれている。詳しいレビューについては、後編に譲るので、そちらを楽しみにしていただきたいが、もし、ソフトバンクショップや家電量販店に出向くチャンスがあれば、ぜひ一度、104SHで実現される新しい世界観を体験してみて欲しい。

ここに行けば実機が体験できる! 104SH 実機展示量販店
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法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 7」をはじめ、「できるポケット SoftBank AQUOS PHONE 006SH スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2011年6月30日発売)、「できるポケット docomo AQUOS PHONE SH-12C スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2011年6月16日発売)などのスマートフォン関連も数多く執筆。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。

関連情報

「AQUOS PHONE 104SH」製品情報(SoftBank)
http://mb.softbank.jp/mb/smartphone/product/104sh/

「AQUOS PHONE 104SH」製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sb104sh/

シャープ 携帯電話 SoftBankラインアップ
http://k-tai.sharp.co.jp/lineup/softbank/

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ソフトバンク、Android 4.0搭載「AQUOS PHONE 104SH」の予約開始
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20120209_510844.html

次期Android搭載、1.5GHzデュアルコアにHD液晶搭載の「104SH」
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20110929_480230.html

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