SoftBank 4Gは今がチャンス? by 法林岳之

 ここのところ、よく話題になる「つながりやすさ」。いろいろな機能が搭載され、さまざまなシーンで活用できるようになったとは言え、スマートフォンがネットワークにつながっていなければ、意味がない。電話のネットワーク、モバイルデータ通信のネットワーク、Wi-Fiネットワーク、インターネットなどにつながっていてはじめて、スマートフォンの多彩な機能が利用できる。つまり裏を返せば、スマートフォンがどれだけ使えるかは、どれだけネットワークにつながりやすいかにかかっているわけだ。

 そこで、各携帯電話事業者は基地局などのネットワークを整備する一方、さまざまな形で自社のつながりやすさをアピールしているんだけど、ユーザー側としてはなかなかその実力を測ることができないのも事実。本誌の記事でも説明したように、「電波は水物」と言われることが多く、電波状況は刻々と変化するため、なかなか一人のユーザーが使っているレベルでは判断することができない。その場でつながるかどうかはわかってもそれが全体的なつながりやすさの裏付けになるかというと、必ずしもそうでもない。

 ただ、ちょっと視点を変えて見ると、特定のシチュエーションで明確につながりやすさの違いを体験できてしまうことがある。たとえば、先日、行なわれたワールドカップアジア最終予選のようなイベントもそのひとつ。6万人を超える人が集まるわけだから、当然のことながら、回線も混雑し、つながりにくくなる。こういうイベントが行なわれるときは、各社とも移動基地局を出動させたり、最近では施設内にWi-Fiスポットをいくつも設置したりして、何とかトラフィックをさばこうとする。今回も試合前のウォーミングアップの時間帯はなんとか使えたものの、ハーフタイムや試合終了後は、各社とも安定してつながらず、携帯電話事業者によっては発信規制もかかっていた。

 しかし、そんな中でも快適に利用できたのがソフトバンクのAQUOS PHONE Xx 203SH。WebブラウザーでWebページも閲覧できたし、Facebookのタイムラインも追うことができた。いっしょに持っていった他の携帯電話事業者のスマートフォンが使えない時間帯でもちゃんと使うことができたのだ。試合終了後の帰り道、埼玉スタジアム2002から埼玉高速鉄道浦和美園駅に向かって歩いているとき、近くを歩いていた若い女性グループがなかなかつながらないようで、「あー、終電の時間がわからない~!」と嘆いていたけど、こちらは何の問題もなく、乗り換え案内を検索したり、試合の速報ページを見ていたりしていた。

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SoftBank 4Gで接続時は電波レベルのピクト横に「4G」の文字が表示される。ビル内などはちょっと弱いけど、都市部の屋外はよくつながる印象

 なぜ、こんなことが起きたのかというと、大きな要因のひとつがユーザー数だ。これだけ多くの人が一カ所に集まるので、その場の携帯電話事業者別のユーザー分布は基本的にシェアに準じるはずだけど、ソフトバンクの場合、もうひとつ別の要因が関わってくる。それは機種によって、対応する通信方式が違うという点だ。

 ソフトバンクは2012年2月からWireless City Planningが提供するAXGP方式を採用した「SoftBank 4G」のサービスを開始し、2012年10月からはスマートフォン向けにもサービスの提供をスタートさせている。スマートフォンのSoftBank 4Gの対応機種は、すでに6機種が発売されていて、ボクが使っているAQUOS PHONE Xx 203SHもそのひとつ。同じソフトバンクでもiPhone 5やiPad Retinaディスプレイモデル、iPad miniが対応しているのは、LTE方式によるSoftBank 4G LTEで、まったくの別物。周波数帯もSoftBank 4Gが2.5GHz帯に対し、SoftBank 4G LTEは2.1GHz帯と、異なる。

 ソフトバンクが純増で好調なことは本誌でも伝えられているけど、SoftBank 4G対応スマートフォンはまだ約8カ月しか販売されておらず、他方式や他事業者の端末に比べ、まだ絶対数が少ないことは想像に難くない。だからこそ、6万を超える人が訪れるような埼玉スタジアム2002でもちゃんと使えたというわけ。

 もうひとつ補足しておくと、AQUOS PHONE Xx 203SHは、ソフトバンクが2012年7月から運用を開始した900MHz帯を利用した3Gサービス『プラチナバンド』にも対応する。そのため、同じソフトバンクの端末でもそれ以前に発売された機種とでは、つながるエリアが大きく異なってくる。ちなみに、ステータスバーの電波レベルのピクト横には、SoftBank 4Gで接続時は「4G」、ULTRA SPEEDなどの3Gサービス接続時は「3G」が表示される。3Gが表示されているときは他社同様のつながり方だったけど、4Gのときはサクサクと使うことができたというわけ。やっぱり、空いているのって、うれしいね。

これらの点を考えると、ソフトバンクのユーザーがスマートフォンを使うのであれば、SoftBank 4G対応の夏モデルは、今がチャンスという見方もできる。特に、夏は花火大会や野外イベントなど、大勢の人が集まる場所に出かける機会が多そうだけど、SoftBank 4Gユーザーと旧来のSoftBank 3Gのみに対応した端末のユーザーでは、つながり方に差が出てくることもありそうだ。もちろん、その場所がSoftBank 4G対応エリアじゃないと意味がないんだけどね。

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もちろん、対応エリアであることが大前提だけど、まだユーザー数が限られていることもあって、つながってしまえば、とにかく快適

 スマートフォンは、プラットフォームのバージョンアップなどで長く使えるという認識もあるため、買い換えのタイミングが難しいとも言われているけど、こういった通信方式の対応が変わるタイミングというのは、機種変更しやすいタイミングとも言える。AQUOS PHONEも2013年夏モデルとして2機種が発表されており、「AQUOS PHONE ss 205SH」が6月21日、「AQUOS PHONE Xx 206SH」が6月下旬に発売される予定だ。SoftBank 3Gのみの対応機種を利用しているユーザーは、SoftBank 4G対応のAQUOS PHONEをチェックしてみることをおすすめしたい。

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