「Enterprise Watch」創刊から現在までを
ランキングで振り返る



 Enterprise Watchの創刊は、2003年10月。10周年を迎えたImpress Watchの中ではまだまだ新参者だ。また、一般ユーザーとは縁遠い(?)ニュースが中心なので、普段目を通していない方も多いのではないだろうか。

 そこで、この3年間の年間アクセスランキングからEnterprise Watchおよびエンタープライズ業界の動きを振り返ってみる。


2003年-Linuxカーネル2.6リリース、SCO訴訟などに注目が集まる

順位 題目
1 Windows 98のサポート終了で、企業システムが危険に
2 Linuxカーネル 2.6.0リリース、約3年ぶりのメジャーバージョンアップ
3 「安全なOSはLinux」、Windows開発者から高評価
4 シャープ、スライド式キーボードとVGA液晶を採用した企業向けZaurusを発表
5 米SCO、大口Linuxユーザーに著作権侵害警告を拡大
6 ガッツ石松vs猿のモモvsオラクル営業、10gインストール対決
7 HP、「Efficeon」搭載の“ブレードPC”を発表、ユーティリティコンピューティング展
8 ボーランド、次世代Java開発プラットフォーム「Borland JBuilder X」を発表
9 業界最高ベンチマーク記録を出したItanium 2サーバーの中身拝見
10 デル、Red Hatプリインストールのワークステーションを販売
11 富士通、上期連結決算を発表
12 NECインフロンティア、Pocket PC 2002を搭載した業務用PDA
13 iシリーズ生みの親、ソルティス氏が札幌で会見
14 マイクロソフト、セキュリティ研究教育用途で6大学にソースコードを開示へ
15 マイクロソフト、Windows 2000 Serverの販売・サポートスケジュールを公開

 2003年は、2004年1月に無償サポートが終了するWindows 98の記事がトップ。翌年の1月に有償サポートユーザーに対して、2006年6月まで延長することが発表され、一段落した。

 そのほか、12月にはLinuxカーネルのメジャーバージョンアップが公開されるなど、Linux関連の記事に注目が集まった。また、米SCOによるIBMへの訴訟にも関心が集まっていた。結局、今年になって、SCOの主張の大半は棄却されている。Linux関連では、11月に米Novellが独SuSE Linuxを買収。Novellは2006年11月に米MicrosoftとLinuxとWindowsの相互運用性実現に向け提携を発表しており、今後の展開に注目が集まっている。

オラクルはOracle 10gのインストールの容易さを、ガッツ石松氏と猿のモモちゃんとの対決で表現 年末企画として掲載した日本HPのItanium 2を最大64基搭載可能な「superdome」の内部を紹介した記事にも関心が集まった


2004年-Windows XP SP2公開、セキュリティ関連記事に注目が集まる

順位 題目
1 MS04-011を適用するとWindows 2000が動かなくなるおそれ
2 フリーのオフィススイート「OpenOffice.org 1.1.1日本語版」が公開
3 マイクロソフト、Officeの上位バージョンをプリインストール可能なライセンス形式を発表
4 ソースネクスト、“1,980円戦略”で法人市場に殴り込み
5 マイクロソフト、IEの累積的なセキュリティ更新プログラムを緊急公開
6 サン、AMDと提携後のx86市場戦略を公表「Itaniumを選択する理由はなくなる」
7 ロジテック、サーバー監視用途向けの小型液晶ディスプレイを発表
8 マイクロソフト、Windows XP SP2 RC2の配布を開始
9 インターネット電話のダークサイドを検証
10 米Microsoft、Windows XP SP2などの新セキュリティ機能を発表
11 マイクロソフト、「Virtual Server 2005 日本語版」を12月1日より発売
12 マイクロソフト、Windows XP SP2早期適用とアプリケーションの修正を呼びかけ
13 マイクロソフト古川氏、Windows XP SP2やSUS 2.0のセキュアな機能を紹介
14 米Microsoft、Blasterワーム除去プログラムの無償ダウンロード提供
15 OSDLジャパン、Linux Kernel 2.6の新機能を解説

 修正プログラムの不具合により、Windows 2000が動作しなくなる問題に関する記事がトップ。修正プログラム関連の記事が複数ランクインした。2004年には、セキュリティが強化されたWindows XP SP2が公開されるなど、セキュリティに注目が集まった年だった。

 そのほか、フリーのオフィススイート「OpenOffce.org」やソースネクストの1980円ソフトなど、ソフトウェア関連の記事が上位に入った。OpenOffice.orgの記事は読者の関心が高く、バージョンアップのたびに週間のランキングに入っていた。

 また、サンがOpteronサーバーを発表したのも2004年。現在では、東京工業大学のスパコンに同社のOpteronサーバーが導入されるなど、業績回復に貢献している。

ロジテックの5インチベイに収納可能な小型液晶ディスプレイ。ディスプレイの置き場に困っているユーザーにヒットしたようだ マイクロソフトのVirtual Server発売の記事。当時Standard Editionで9万9800円したものが、翌年には値下げし、ついには無償提供に


2005年-個人情報保護法施行、企業内でのPCの使われ方に関心が集まる

順位 題目
1 アドビ、起動時間を約80%短縮した「Adobe Reader 7.0」
2 「プロキシこそ最良のセキュリティ製品」、米Blue Coat
3 シマンテック、企業クライアントPC向けセキュリティソフトの新版
4 エンタープライズ版の強化が進むdesknet's、「Notesとの共存が望ましい」
5 企業内PCの半数がなおWindows 2000搭載、XPは4割弱で2番手
6 米Sun、Solaris 10 SPARC/x86版の無償ダウンロード提供を開始
7 “巨大ソフトウェア企業マイクロソフト”におけるサービス部門の意義は?
8 マイクロソフト、深刻度“緊急”を含む9件の修正プログラムを公開
9 日本HP、最大40GBのバックアップに対応したUSB接続DATドライブなど
10 デル、x64版Windows Server 2003のプリインストールモデル
11 セキュリティ脅威は「外部から内部へ」、社員トレーニングが重要に
12 SAPジャパン、“今”の情報を分析できる「SAP Analytics」
13 ファイル形式に依存しない暗号化が可能な、情報漏えい防止ソリューション
14 E3、クライアントPCのすべての操作を監視できるクライアント管理ツール
15 独SAP、ライバル各社から幹部9人をヘッドハンティング

 起動時間を高速化した「Adobe Reader 7.0」がトップ。PDFは企業内での多く用いられているものの、起動に時間がかかるのが弱点だった。そのため、起動時間の高速化に多くの読者が反応したようだ。

 そのほか、社員トレーニングや情報漏えい防止ソリューションなど、個人情報保護法関連の記事が上位にランクインした。クライアントPCをどう管理するかが、情報システム部門の課題として浮かび上がった年といえる。

シマンテックの企業クライアント向けセキュリティソフト。これ以外にもセキュリティ関連製品は全体的に注目が集まった SAPのBIツール「SAP Analytics」がランクイン。“過去”ではなく“今”の情報を分析できるのが特徴



2006年、そして今後は?

 今年のランキングは現在集計中。11月30日にボリュームライセンスでの提供を開始したWindows Vistaと2007 Office system関連の話題が上位に入っていることだけは確か。また、デュアルコアやクアッドコアなどプロセッサのマルチコア化にも関心が集まっている。

 今後は、このマルチコア化したプロセッサをどのように活かすかが、エンタープライズ関連製品の注目点になるだろう。すでにVMwareを代表とする仮想化ソリューションに関心が集まっており、サーバーの仮想化は一般的になっていくものとおもわれる。

 また、SalesforceやOffice Liveなど、Webをベースとしたソフトウェアサービスの今後の展開も目が離せない。

 一般ユーザーから見ると、一見関係なさそうにおもえるエンタープライズ関連ニュースが、意外にコンシューマ製品とつながっていることも多々ある。エンタープライズ製品のポイントは、どのように組み合わせて使うかという点にあるので、Enterprise Watchの記事を読んで組み合わせの妙なども楽しんでみるのもいいのではないだろうか。。

(Enterprise Watch 編集長 福浦一広)



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