Enterprise Watchの創刊は、2003年10月。10周年を迎えたImpress Watchの中ではまだまだ新参者だ。また、一般ユーザーとは縁遠い(?)ニュースが中心なので、普段目を通していない方も多いのではないだろうか。
そこで、この3年間の年間アクセスランキングからEnterprise Watchおよびエンタープライズ業界の動きを振り返ってみる。
● 2003年-Linuxカーネル2.6リリース、SCO訴訟などに注目が集まる
2003年は、2004年1月に無償サポートが終了するWindows 98の記事がトップ。翌年の1月に有償サポートユーザーに対して、2006年6月まで延長することが発表され、一段落した。
そのほか、12月にはLinuxカーネルのメジャーバージョンアップが公開されるなど、Linux関連の記事に注目が集まった。また、米SCOによるIBMへの訴訟にも関心が集まっていた。結局、今年になって、SCOの主張の大半は棄却されている。Linux関連では、11月に米Novellが独SuSE
Linuxを買収。Novellは2006年11月に米MicrosoftとLinuxとWindowsの相互運用性実現に向け提携を発表しており、今後の展開に注目が集まっている。
● 2004年-Windows
XP SP2公開、セキュリティ関連記事に注目が集まる
修正プログラムの不具合により、Windows 2000が動作しなくなる問題に関する記事がトップ。修正プログラム関連の記事が複数ランクインした。2004年には、セキュリティが強化されたWindows
XP SP2が公開されるなど、セキュリティに注目が集まった年だった。
そのほか、フリーのオフィススイート「OpenOffce.org」やソースネクストの1980円ソフトなど、ソフトウェア関連の記事が上位に入った。OpenOffice.orgの記事は読者の関心が高く、バージョンアップのたびに週間のランキングに入っていた。
また、サンがOpteronサーバーを発表したのも2004年。現在では、東京工業大学のスパコンに同社のOpteronサーバーが導入されるなど、業績回復に貢献している。
● 2005年-個人情報保護法施行、企業内でのPCの使われ方に関心が集まる
起動時間を高速化した「Adobe Reader 7.0」がトップ。PDFは企業内での多く用いられているものの、起動に時間がかかるのが弱点だった。そのため、起動時間の高速化に多くの読者が反応したようだ。
そのほか、社員トレーニングや情報漏えい防止ソリューションなど、個人情報保護法関連の記事が上位にランクインした。クライアントPCをどう管理するかが、情報システム部門の課題として浮かび上がった年といえる。
● 2006年、そして今後は?
今年のランキングは現在集計中。11月30日にボリュームライセンスでの提供を開始したWindows Vistaと2007 Office
system関連の話題が上位に入っていることだけは確か。また、デュアルコアやクアッドコアなどプロセッサのマルチコア化にも関心が集まっている。
今後は、このマルチコア化したプロセッサをどのように活かすかが、エンタープライズ関連製品の注目点になるだろう。すでにVMwareを代表とする仮想化ソリューションに関心が集まっており、サーバーの仮想化は一般的になっていくものとおもわれる。
また、SalesforceやOffice Liveなど、Webをベースとしたソフトウェアサービスの今後の展開も目が離せない。
一般ユーザーから見ると、一見関係なさそうにおもえるエンタープライズ関連ニュースが、意外にコンシューマ製品とつながっていることも多々ある。エンタープライズ製品のポイントは、どのように組み合わせて使うかという点にあるので、Enterprise
Watchの記事を読んで組み合わせの妙なども楽しんでみるのもいいのではないだろうか。。
(Enterprise Watch 編集長 福浦一広) |