インフラの10年を経過し、
サービスの10年(?)に突入するブロードバンド
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■ 個人的な10周年はまだ先
Impress Watch誕生10周年。まずは、「おめでとうございます」と言っておきたいところだが、実は10年と言われても個人的にはあまり「ピン」と来ない。今のライター稼業を始めたのが8年前、しかもブロードバンド系の話題を扱い始めたのは、2001年前後からなので、まだ6年前後といったところ。個人的な10周年はまだまだ先と言えるため、さほど実感がわいてこないのだ。
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Yahoo!
BB 12M用のコンボモデム(2002年当時) |
ただ、ブロードバンドというか、通信業界を振り返ってみると、確かに、この10年の進化というのは興味深い。たとえば、INTERNET
Watchが創刊した1996年と言えば、いわゆるISDNブームの時代だ。新規申し込みをしても工事まで3~4ヶ月待ちが当たり前、TAは品薄で売っている店を探し回った記憶が、懐かしくも思い出されてしまった。
ISDNブームが第1次インフラブームだとすれば、第2次は2001年前後のADSLブームだろう。毎年、いや半年おきに行われた各事業者の価格競争、スピード競争は、今から考えると異常な過熱ぶりだった。そういえば、ADSL関連では東京地裁や総務省などにも取材に出かけたこともあり、なかなか面白い体験をさせていただいた。
■ Watchと共に歩んだこの数年
今回、Watchの10周年ということで、これまでに自分が執筆した原稿をあらめて見直してみたが、何というか、マニアックに突っ走ってきたなあというのが実感だ。
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TDKの802.11a対応無線アクセスポイント「WN-5AP01B」
(2002年当時) |
ADSLの技術解説なども数多く行ったが、モデムのコマンド使ったビットマップ解析とか、ウラ技的な原稿もあり、今から考えると、少々やりすぎの感さえある。そもそも、全盛期には、自宅にADSLを3回線導入し、さらに光ファイバー2本と、我ながら「何に使うのか?」と問いたくなるほどの状況だったこともあった。ルーターや無線LAN機器も、これでもかというほど買った。量販店に頻繁に出かけては、新しいルーターや無線LAN機器を片っ端から購入。もはや仕事というよりは、個人的な趣味の領域で買っては原稿を書くという作業を繰り返していた。
そんなこんなで、Watch、特にBroadBand Watchでは、やりたい放題やらせてもらってきたわけが、同時にWatchというメディアの偉大さを肌で実感させてもらった時でもあった。ADSL関連の記事は読者からの反応もすごかったが、何より通信業界からの注目度が高く、発表会で見知らぬ相手から声をかけられる機会が増えたり、事業者などにインタビューに出かけても、すぐに顔と名前を覚えてもらうことができた。今でもこうしてライターとして仕事ができるのは、当時、運良くBroadBand
Watchという媒体で執筆させてもらうことができ、しかもADSL関連の話題を扱うことができたからであろう。
もちろん、その一方でWatchという媒体の影響力の強さにプレッシャーを感じることも多い。仕事柄、製品やサービスの欠点を指摘することも少なくないが、Watchに掲載された原稿の場合、それが市場や消費者に与える影響が他の媒体に比べて極めて大きい。今はブログなどで個人が気軽に自分の意見を発信できる状況だが、これと同じ感覚で原稿を書くととんでもないことになる。書き手として、いや情報を発信する者としての責任を身をもって体験させてもらったのもWatchである。そういう意味では、筆者の成長をもっとも助けてもらった媒体だ。
■ インフラはもはやライフラインに、次はサービスの10年に
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2003年当時のブログ |
少し個人的な話になってしまったので、話題を戻そう。このようにブロードバンドは、これまでは主にインフラとして扱われてきたわけだが、今後はサービスとして発展していくことだろう。
これまでは高速なインフラが物珍しかった時代だったが、もはや光ファイバーのような超高速なインターネット接続環境が当たり前の時代になり、インターネット接続環境は、水道やガス、電気などと同様なライフラインとして扱われるようになってきている。それに伴って、このインフラを使って何ができるのかに注目が集まってきている。
実際、ブログ、SNSといったユーザー参加型のコンテンツが増え、動画共有サービスなどの新しいサービスも登場し始めている。ブロードバンドという言葉が世間で騒がれ始めた当初は、ブロードバンドならではのコンテンツが不足しているという話題もあったが、フタをあけてみてれば、音楽、動画、そして前述したユーザー参加型のコンテンツが、これでもかとばかりにあふれかえっている状況だ。
今の状況は、若干過熱気味のブームのようにも思えため、これからサービスの淘汰が行われていくるはずだ。今後、このようなサービス中で何が生き残り、そして新しくどんなサービスが登場するかをWatchという媒体を通じて注目していきたいところだ。
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